ドローンでの救護活動実用に向けての試験を富士山で実施
2016年7月3日 22:45
ドローンの産業利用が本格化すると予想されている。インプレス総合研究所の「ドローンビジネス調査報告書2016」によれば、2015年度の日本国内のドローンビジネスの市場規模は104億円だが16年には約1.9倍の199億円に拡大、20年には約11倍の1138億円に拡大すると予想されている。ドローン活用の用途としては空撮や物流、農業や測量・調査・点検、救護などといった分野が想定される。産業用ドローン実用に向けて、安定性や安全面などのうえでも実用に耐えうる技術の研究開発が急ピッチで進められている。
エンルートは救護活動でのドローン活用に向けた実証実験を、浜松医科大学の協力のもと行った。この実験では富士山で要救助者のいることを想定し、現場とドローン発着地点のコミュニケーション方法、最適な医療機材の運搬や自律航行での搬送などを検証した。その結果、携帯のGPS機能を用いた搬送先の特定や、標高2600mでの飛行エネルギーデータの取得など実用化に向けた自律制御の確認ができ、霧や夜間、急斜面でも自律航行できることの有用性が認められた。
ドローンで空の産業革命が起きるには、技術面で実用が可能になるのと同時に、「ドローンハイウェイ構想」のようなルール作り・法整備が進められることが条件だ。アメリカでは米連邦航空局(FAA)が6月21日、産業用ドローンの飛行・運行ガイドラインを策定し、パイロットや機体、飛行可能時間帯や高度・速度を規定し、産業用ドローンの活用に乗り出す企業や個人への道しるべを示した。同様のガイドラインは日本でも昨年12月に航空改正法によって既に示され、安全性を担保したうえで実用化を推し進めるとして一定の評価を得ている。
産業用ドローンの実用化は、約70%が山岳地帯で過疎地も多い日本においては、物流コスト削減や人材不足の解消、安全な業務遂行などの利点があり、様々な産業で有効活用が可能となる。こうした産業用ドローン実用化に向けた技術革新や法整備は、直接恩恵を受ける産業のみでなく間接的にサービスを活用する可能性のある一般市民にとっても歓迎されるもので、今後の進展が期待される。(編集担当:久保田雄城)