【コラム】公開質問での活字論戦でも各党主張鮮明に交えよ
2016年7月2日 15:40
民進党の岡田克也代表が自民党の安倍晋三総裁(総理)宛てに先月29日行った『公開質問状』に対し、自民党は翌日、ファイスブックで「自民党として回答しない旨を民進党に伝えた」とした。
公開質問状は質問内容も、その回答も、やり取りをオープンにすることによって、まさに選挙の争点を、それぞれの立場でどう考えているのか、いわば「国民に明らかにする」ことにほかならない。
国民はそのやり取りから、与党第1党の自民党、野党第1党の民進党が、どういう考えで、国政に取り組む考えか、両党の違いが鮮明になり、どちらを支持できるのか、選択するうえで非常に参考になるものだ。
安倍総理は今回の参院選挙は「衆院を解散しない代わりに、参院選挙で国民に信を問う」と政権政党として、国民に信を問う性格の選挙と位置付けた。いわば、衆院選挙の性格を自ら持たせたのである。
「改選議席(121議席)の過半数を『自民・公明』の与党で目指す」とした。仮に過半数が取れなかった場合(投票者の半分以上が安倍政権にNOを突き付けた場合)、安倍総理はどのような対応をするのだろうか。総理ポストを降り責任をとるのだろうか。
民進党の岡田克也代表は今回選挙に全体の結果での負けの場合に限らず、自らの地元の参院選三重選挙区で党の公認候補が負ければ「党の代表を続ける資格はない。次の代表選には出ない」と責任の取り方を明確にしている。一方、安倍総理は、1日現在、責任の取り方を明言はしていない。
改選議席の過半数割れが起きた場合に「信を問う」と言った以上、内閣総辞職を選択すべきだろう。それくらいの決意を表明して、7月10日の参院選投開票に臨んで頂きたい。
その覚悟の下、公開質問が、国民にとって大きな関心事である「経済」「社会保障」「憲法」「政治とカネ」の問題であることから、真っ向から国民に訴えておられることを、そのまま、答えられれば良いではないか。
自民党はファイスブックで「軍事費について、共産党による『人を殺す予算』発言に、共産党と手を組む民進党として、どう考えるのか?という、私たちの問いかけには『反論すること自身が土俵にのりますから、無視ですね』と岡田代表自らがおっしゃっているそうで、この論点にはあまり触れたくないようです」と書き込んでいる。
軍事費を人殺しの予算と発言した共産党の政策委員長は発言を撤回するとともに、党の方針と違う発言をしたことに深謝し、政策委員長を辞任した。人を殺す予算発言に対する民進党の受け止めを、まさに公開質問すべきであり、こうしたやり取りの透明化こそ、政治を分かり易く、選挙争点に関する各党の考え、立ち位置を分かり易くすることになる。
自民党は「政党として信ずるところを大いに国民の皆様に訴えていこうではありませんか」と結んでいるのだが、国民の側にすれば、街頭での激しい論戦と共に、争点を明確にさせた中での各党の明文化された考えを互いの質問に対する回答の中で、確認し、より深く理解し、そして、投票行動につなげていくことができると感じている。
とりわけ、党のトップが、鮮明に自らの考えを示すことは有権者にとっては選択材料になる。是非、民進党、自民党だけでなく、各党互いに、こうした公開質問状での活字での論戦も7月9日までのギリギリまで展開して頂きたい。政権を目指す、あるいは政権を担う公党であれば、その期待に応えるべきと強調しておきたい。(編集担当:森高龍二)