京大と日立が「日立京大ラボ」を開設 「ヒトと文化の理解に基づく基礎と学理の探究」を推進

2016年6月28日 10:25

 近年、ICTの発展、グローバル化の進展、人々の価値観の変化などにより、知識や価値の創造プロセスが大きく変化し、経済や社会の在り方、産業の構造が急速に変化する大変革時代が到来している。そのような経済や社会の変革に対応した新たな価値を創出し、豊かな暮らしがもたらされる「超スマート社会」を未来の姿として共有して、世界に先駆けた社会課題の解決が求められている。

 これを受け、国立大学法人京都大学と日立製作所<6501>は、「ヒトと文化の理解に基づく基礎と学理の探究」を推進するため、共同研究部門「日立未来課題探索共同研究部門(日立京大ラボ)」を京都大学内に開設した。このラボでは、京都大学と日立の協創によって未来の社会課題を洞察し、その課題解決と経済発展の両立に向けた新たなイノベーション創出を目指す。また、常駐する日立の研究者が京都大学の人財と一体となって共同研究を推進するとともに、国内外の研究機関と学際的な共同研究を推進するハブとなり、オープンイノベーションに取り組む計画だ。

 京都大学は1897年の創立以来、「自由の学風」のもと、先端的かつ独創的な研究を推進してきた。また、人類の将来にとって学理の探究こそが知の源泉であるという考えに立ち、社会との関係においては開かれた大学として連携を強めてきた。そして、自由と調和に基づく知を社会に伝えることを基本理念に掲げ、地球社会の調和ある共存に寄与することを目標に、イノベーションの創出と社会貢献を積極的に進めてきた。総合研究大学としての学問領域のダイバーシティと深いポテンシャルに、日立の高度な事業マインドを導入し、新しい価値を継続的に創出する今までにない拠点として活動を展開していく。

 一方、日立は、長年培ってきたインフラ技術と高度なITを組み合わせた社会イノベーション事業を推進してきた。今後は、顧客やパートナーとの協創やオープンイノベーションの推進を加速し、社会の課題に対し最適なソリューションを提供するため、デジタル技術を活用した新たな価値の創造を図っているという。

 こうした中、京都大学と日立は、イノベーションの創出や社会課題の解決といった共通の課題意識を背景として、今回、日立京大ラボを開設した。日立京大ラボでは、未来の社会課題を洞察し、ヒトやモノが織りなす社会や文化に関する基礎と学理の探究を通じて、社会課題の解決と経済発展を両立する独創的なイノベーションの創出をめざし、「ヒトと文化の理解に基づく基礎と学理の探究」の共同研究を推進する。

 日立京大ラボでは、(1)未来社会と文化の探索的な洞察による“2050年の社会課題と、その解決に向けた大学と企業の社会的価値提言”の策定、(2)環境や文化と共生しつつ社会課題を解決し超スマート社会を実現するための“ヒトや生物の進化に学ぶ人工知能”の探究、(3)未来の社会インフラやヒトの生活文化を切り拓く革新的なモノの創生に向けた“基礎物理のための最先端計測”の探究、の3つのテーマを含む幅広い分野において、日立が顧客との協創活動で培ってきた社会のあるべき姿を導き出す手法や人工知能、先端計測技術などの技術成果と、京都大学の幅広い学問領域と深いポテンシャルの融合を図る。(編集担当:慶尾六郎)

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