真の復興にむけて。震災から5年、東北の拠点化を進める企業の目算
2016年6月25日 22:55
自動車産業を中心に、東北の拠点化が進んでいる。
世界トップシェアを誇るトヨタが、国内の生産拠点として、2020年頃までに小型車生産を東北に集約する方針を明らかにしたのが昨年の11月。グローバル展開を加速する一方で、国内生産の強化を図る同社の新たな戦略として、大きな話題を呼んだ。しかも、今のトヨタが最も力を入れているハイブリッド車(HV)の生産拠点というのだから、震災復興支援という意味合い以上の、トヨタの本気度合いがうかがえる。
また、住友電工の100%子会社である住友電工ハードメタル株式会社も、福島県三春町に新会社を設立し、自動車関連向け工具などの生産拠点として2017年11月からの稼働予定を発表している。同施設では、超硬ドリルと鋼工具の生産を行い、両製品のグローバルな供給力の増強を行うとともに、東北地区での顧客サービス強化を図る。
住友理工も2015 年 4 月に 設立した自動車用防振ゴム製造・販売の新会社、住理工山形で、製造ラインの一部操業を2016年6月より開始した。同社グループはこれまでグローバル企業として、海外拠点の拡充や欧州・南米企業の買収などにより、日本をはじめ、米州、欧州・アフリカ、中国・韓国、アジアでの製品開発・供給体制を確立。現在、世界23 ヶ国 105拠点で事業を展開している。同社グループとしては、東北の生産拠点は初めてとなる。
2011年に発生し、日本に甚大な被害をもたらした東日本大震災。あの未曽有の災害から5年。未だ被災地と被災者の傷は癒えたとは言えないが、東北地方は確実に復興の道を歩み始めている。支援金や義援金などももちろん必要だが、本当の意味での復興とは以前よりも、もっと活気あふれる街になることではないだろうか。各企業の東北拠点の成功に期待したい。(編集担当:藤原伊織)