桜が危ない 健康状態は過去6年で最悪、樹勢衰退へ

2016年6月19日 17:45

 ウェザーニューズ<4825>は、全国の桜の健康状態をまとめた「桜の健康診断2016」の結果を発表した。それによると、今年の桜の健康状態は過去6年の調査で最悪の結果となったという。

 全国8,173人から寄せられた回答を集計して健康度を指数化し、「優良(1.00~1.75)」「正常(1.76~2.50)」「やや生育不良(2.51~3.25)」「生育不良(3.26~)」の4段階で判定した。その結果、今年の桜の健康度は総合的に「優良(-)」の判定となった。「優良」の範囲内ではあるが、2011年の1.49と比較すると2016年は1.70と0.21健康度が悪化し、過去6年で最も悪い結果となった。桜の健康状態が悪化し、樹勢が衰退傾向にあるという。

 また、今年全国で「優良」と判定された桜は約6割となり、約7割(67%)だった昨年から約10ポイント健康度が悪化した。さらに項目別に見ても、「花の咲き方」や「幹の状態」は悪化傾向となっている。

 「花の咲き方は?」と質問し、「木全体にまんべんなく花が咲いている」「所々咲いていない枝がある」「特に上部に咲いていない」の3項目から回答してもらった。その結果、「所々咲いていない枝がある」「特に上部に咲いていない」の合計が、過去6年で初めて3割を超え、きれいに咲きそろわない「まだら咲き」のエリアが多かったことがわかった。これは、3月上旬まで暖冬傾向でつぼみが膨らんでいたところに、3月中旬?下旬に強い冷え込みがあったことが影響したと思われるという。

 「幹の状態は?」と質問し、「穴や切られたアト、窪みは無い」「穴や切られたアト、窪みなどが少しある」「穴や切られたアト、窪みなどがかなり目立ち、もしくはキノコが生えている」「大きく切られたり、もしくはキノコが生えている」の4項目から回答を得た。その結果、穴や切られたアト・窪み・キノコが生えているなど、不健康な状態の回答の合計が過去6年で初めて5割を超えた。

 また、今回の「桜の健康診断」とは別に、スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」内で調査を実施し、「周辺の桜に以下のような病気の特徴が見られるか?」と質問し、「大丈夫」「コブがあった」「キノコが生えていた」「どちらもあった」の4択で回答してもらった。こちらも、桜に何らかの病気の特徴があったとする回答が全国で24%にのぼり、改めて病気を持つ桜の多さがわかった。

 エリア別に見ると、「優良」のエリアが大半をしめているものの、一昨年・昨年に比べて北海道、東北北部や九州などで「正常」のエリアが増加し、悪化の傾向となった。桜の花芽が形成される2015年夏の気象条件を見てみると、東北北部の太平洋側では8月下旬の“やませ(冷たく湿った東風)”が影響して日照時間が短くなった。そのため光合成が足りず、桜の健康度に影響を及ぼしたことが考えられるという。また、九州では各県で健康度が30位以下となるなど悪めの結果となった。これは、2015年8月後半に前線の影響で日照時間が短かったことや、熊本に上陸した台風15号により桜の木や葉が傷ついたことが原因として考えられるとしている。(編集担当:慶尾六郎)

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