iPhoneを米国で製造すると価格はどうなる? 米国内の雇用は増える?

2016年6月15日 19:05

headless 曰く、 2016年米大統領選で共和党の候補に決まったドナルド・トランプ氏と、民主党の指名争いを継続しているバーニー・サンダース上院議員は、Appleに対し製品を米国で製造するよう求めている。実際にiPhoneを米国で製造する場合、2氏の思惑通り米国での雇用を増やすことができるのか、価格はどうなるのかといった点についてMIT Technology Reviewが3つのシナリオにまとめている(9to5Mac)。

 1つめのシナリオはiPhoneの組み立てを米国で行う場合だ。米シラキュース大学のジェイソン・デドリック教授は、米国で組み立てるとコストが30~40ドル増加し、iPhone 6s Plusの価格が5%上昇すると考えているそうだ。ただし、コスト増は人件費よりも輸送費の増加による部分が大きいという。Appleはサプライヤーが合計160万人の労働者を雇っていると述べているが、iPhoneの組み立て工場で雇われている人数はそのごく一部であり、米国に組み立て工場を建設しても雇用は期待するほど増加しないようだ。

 2つめのシナリオはiPhoneのコンポーネントも含めて米国で製造する場合だ。iPhoneのコンポーネントではタッチスクリーンディスプレイとチップ部品がコストの多くを占める。半導体工場は数年おきに新しい世代の設備に更新する必要があり、設備投資に対して人件費はごくわずかなため、米国に建設してもコストはあまり変わらないという。それでもすべてのコンポーネントを米国内で製造する場合、アジアとのコスト差は大きい。原料は国外から輸入し、コンポーネントを米国で製造した場合のコストはシナリオ1よりも30~40ドル増加し、最終製品の価格は最大で100ドル高くなるとデドリック教授は予測しているとのこと。

 3つ目のシナリオは原料もすべて米国内で調達するというものだが、外装のアルミニウムをとってみても米国内でボーキサイトは採掘されていない。レアアース類も世界の供給量の85%を中国が占めており、事実上ハイテク製品を米国内だけで製造することは不可能とのことだ。

 スラドのコメントを読む | アップルセクション | ビジネス | 政治 | アップル | アメリカ合衆国 | iPhone | お金

 関連ストーリー: 米大統領候補ドナルド・トランプ氏、Appleに米国内での生産を義務付けると宣言 2016年01月23日 生産拠点は中国からインドに? Foxconn、6,200億円かけインドに新工場建設 2015年08月14日 雇用を期待されるAppleの米国内新工場は「ほぼ無人工場」かもしれない 2012年12月13日

関連記事

最新記事