視線検知で運転を支援、脇見運転防止に期待 強い口調で注意喚起も

2016年6月14日 08:12

 脇見運転は「安全運転義務違反」にあたり、2点が基礎点数として加算される。さらに、人身事故の程度に応じて2~20点の付加点数が加算され、その合計点数が事故の加点数となる。

 3月30日に警察庁交通局が発表した「平成27年における交通事故の発生状況」の「原付以上運転者(第1当事者)の法令違反別交通事故件数の推移」によると、脇見運転による交通事故は2005年で147,101件であったが、15年には85,601件にまで減少している。しかし、構成率が安全不確認(30.5%)に次いで2番目に高く(16.8%)、問題視されている。

 スマートフォンを操作しながらの運転は言語道断だが、運転中何かの拍子で脇見をしてしまったという時に、音声による注意喚起があればどうだろうか。富士通テン<6702>は5月19~20日に開催された「富士通フォーラム2016 東京」にて、視線検知やスピーカーを活用した運転支援技術を披露した。脇見をしている場合、強い口調の音声で注意喚起を促したり、運転の負荷を測定して緊急性の低いメールなどの通知を控えて運転を妨げたりしないようにする。

 飛び出しがないか注視している時は「この先、飛び出し多発地点があります」といった通常のガイダンスが流れるが、視線が前方に向いていないことを検知すると「飛び出し注意!」と強い口調と大きめの音量で注意を促す。

 また、視線の移動量や位置情報をもとに運転の負荷を推測し、負荷が大きい状態であると判断した場合は、緊急性の低いメールなどの通知を控えることで、運転の妨げとならないようにする。例えば、交差点で右折する際、対向車両や右折先の横断歩道の状況などに目を配る必要があるため、視線の移動が大きくなることから、自車が交差点内にいるという位置情報をもとに運転の負荷が大きい状態に置かれていると判断すると、メールの着信通知や緊急性の低い通知を控え、右折待ちの間に届いたメールを右折後に通知する。

 同フォーラムでは、自車の後側方から近づいてくる自転車がいることを音で知らせるデモンストレーションも実施。スピーカーをシートのヘッドレスト両脇に設置し、左側後方から自転車などが近づいてきた時は左側のスピーカーから警告音を発することで、直感的に判断できるようにした。しかし、これはあくまで試験車両としてのやり方で、この形のまま量産モデルに搭載するのは難しいという。

 どんなに安全運転を心掛けていても、車を運転している以上は事故のリスクが付き纏う。安全なクルマ社会の実現のためにも、技術の発展に期待したい。(編集担当:久保田雄城)

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