NYの視点:米5月雇用統計、雇用拡大は織り込み済みでスラック状況を探る

2016年6月3日 07:15


*07:15JST NYの視点:米5月雇用統計、雇用拡大は織り込み済みでスラック状況を探る

米国の労働市場は順調な回復を継続していることを、市場はほぼ織り込み済みと見る。米国労働省が発表する雇用統計と相関関係が強く先行指標の中でも最も注目度の高い民間部門の雇用統計となるADP雇用報告の5月分は前月比17.3万人増と予想に一致、4月分も3年ぶりの低水準の伸び15.6万人増から16.6万人増に、3月分も19.4万人増から20.1万人にそれぞれ上方修正された。このため、5月の雇用統計でも4月と同じく、まずまずの雇用の改善が予想されている。

製造業活動は5月の地区連銀経済報告(ベージュブック)の中でも示されたが依然、強弱まちまち。製造業の雇用もまちまち。市場エコノミストは失業率が3月の5.0%から4.9%に低下、非農業部門雇用者数も前月比の増加幅が16万人と、4月と同ペースで順調に雇用の増加が進んでいると見ている。アメリカの大手通信事業者ベライゾンのストライキが影響し2ヶ月連続の20万人割れが予想されているが、FOMCメンバーは10万以上の増加は合格点と見ているため、見通しに大きくマイナスに影響する可能性は少ないと見る。

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は先週開催されたイベントで、「経済の成長が順調に拡大した場合、今後数か月内に追加利上げに踏み切ることが妥当となる可能性」を指摘。5月の地区連銀経済報告(ベージュブック)の中でも、全米12地区の経済が緩やかな成長を続けていることが確認された。加えて、雇用のひっ迫や賃金が上昇している兆候も指摘された。

イエレン議長は、労働市場がFRBの目標とする最大雇用に一段と接近したとの見方。しかし、不完全雇用率(U6)は高く、職種の質が低く依然たるみが見られ、一段と改善余地があると見ている。このため、雇用統計でも賃金の伸び、労働参加率などのたるみ状況を探っていくことになる。


■5月雇用統計の先行指標

・米・5月ADP全米雇用報告:前月比+17.3万人(予想:+17.3万人、4月:+16.6万人←+15.6万人)

・米ISM製造業指数雇用:49.2(4月49.2)

・NY連銀製造業景況指数
雇用(現状):2.08(4月1.92)
週平均就業時間:−8.33(1.92)
6か月予想
雇用:10.42(13.46)
週平均就業時間:5.21(10.58)

・フィラデルフィア連銀製造業景況指数
雇用(現状):−3.3(4月−18.5、6ヶ月平均‐4.6)
週平均就業時間:−15.1(−16.2、6か月平均−6.7)
6か月先
雇用:12.0(14.2、6か月平均4.2)
週平均就業時間:13.7(12.7、6か月平均12.0)

・リッチモンド連銀製造業景況指数
雇用(現状):4(4月8)
週平均就業時間:6(9)
賃金::15(15)
6か月先
雇用:2(4月10)
週平均就業時間:3(1)
賃金:23(27)

・消費者信頼感指数
雇用(現状)

 十分:24.3(4月24.2、前年同月20.6)

 不十分:51.3(53.0、52.2)

 困難:24.4(22.8、27.2)
雇用(6か月先予想)

 増加:12.8(4月12.7、前年同月14.7)

 減少:18.1(16.7、前年同月16.6)

 不変:69.1(70.6、前年同月68.7)

・失業保険申請件数

     件数 前週比 4週平均 継続受給者数
05/28 267,000  -1,000 276,750 n/a
05/21 268,000 -10,000 278,500 2,172,000
05/14 278,000 -16,000 275,750 2,160,000
05/07 294,000 +20,000 268,250 2,153,000
04/30 274,000 +17,000 258,000 2,165,000
04/23 257,000  +9,000 256,000 2,124,000
04/16 248,000  -5,000 260,750 2,129,000
04/09 253,000 -13,000 265,000 2,135,000
04/02 266,000 -10,000 266,500 2,176,000

■市場予想
失業率:4.9%(4月5.0%)
非農業部門雇用者数:前月比+16万人(4月+16万人)
民間部門雇用者数:前月比+15万人(4月+17.1万人)《NO》

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