中国:エレベーター事故多発、背景に「コスト削減で低レベル保守」

2016年6月2日 08:48


*08:48JST 中国:エレベーター事故多発、背景に「コスト削減で低レベル保守」
中国でこのところ、保守作業中などにエレベーターの事故が多発し、注目を集めている。人民日報は5月31日付の記事で、事故多発の背景には、ビル管理のコスト削減のため、低レベルの保守しかできない現状があると指摘した。
中国のエレベーター業界では、「安全維持のためには製品の質が3割、保守作業が7割」と言われているという。しかし、エレベーターの数が年20%もの勢いで増え、保守作業を請け負う小規模な業者が乱立する中、ビル管理会社はコスト削減のため、こうした小規模業者に低価格で業務を委託することが一般的となっている。料金を低く抑えるため、保守業者は高度な技術を持つ人員を確保できないのが現状だ。
中国当局は15日ごとにエレベーター設備の点検、調整や清掃を行うことを義務付けており、保守業者はこうした作業に加えて、月ごと、四半期ごと、年ごとの整備や故障の対応も行う必要がある。低価格で請け負っているため、危険で手間のかかる作業でも少人数で数をこなさなければならない。それでも北京の業者、北京中建華宇機電工程の場合、作業員の月給は3000-4200人民元(約5万-7万円)程度と安い。
同社経営者の丁志華氏は、「保守業者が責任を持って請け負うことができるようにするため、地方当局は小規模な業者を整理し、一部の企業の成長を支援するべきだ。企業が成長すれば作業員の教育にも力を入れられるようになる」と語った。


【亜州IR】《ZN》

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