NASAが水星の地形図を初公表 4000メートル級の山や5000メートル級の盆地も
2016年5月30日 10:41
アメリカ航空宇宙局NASAが、水星の全体を記した標高データを作成したと発表した。今回の標高データが発表されたことで、平均的な表面から約4480メートル突出した山や約5380メートルも落ち込んだ盆地があることが明らかになった。これはNASAの無人探査機メッセンジャーが4年に渡って観測を続けた結果だと言えるだろう。担当者は「水星の地質学的な歴史を明らかにするのに使ってほしい」としている。
NASAの無人探査機メッセンジャーは、2004年に打ち上げられ6年半以上の時間を費やして11年3月に水星を周回する軌道に到着した。水星は太陽系の最も内側に存在する。そのため、太陽からの放射熱が高く、公転速度が高い。そういった理由から1975年にマリナー10号が到達して以来、観測さえも33年ぶりの出来事となる。無人探査機メッセンジャーはこれまでにも30万点の画像の撮影を行うなどし、宇宙の謎を解き明かしてきた。
今回発表された地形図は、11年から15年にかけて無人探査機メッセンジャーが水星を周回しながら撮影した画像及びレーザー高度計のデータを基に作製された。地形図によると、赤道からやや南側にある水星で最も古い地質が残る場所に最も高い山が見つかった。対して盆地は、北緯30度ほどの場所で見つかっていた直径300キロのラフマニノフ盆地のそこが最も深いとされている。
この地形図が注目を浴びたのは、突出した山や落ち込んだ盆地だけに留まらない。それは標高によって地形図が色分けされていることだ。紫から青い部分が低く、緑が平均的な高さとして、黄色から赤や白が高くなっている。これによって、非常に美しい地形図となっているのだ。素人の目にも高低差がわかるようになっており、動画も公開されている。
水星は地球型惑星と呼ばれ、太陽系の最も内側に位置している。水星の謎が紐解かれることで、今後宇宙関連事業にどのような動きが出るのかが注目される。(編集担当:久保田雄城)