スター・トレックのファンムービーによる著作権侵害の裁判、被告側の棄却申立を連邦地裁が却下
2016年5月15日 20:28
スター・トレックのファンムービーが著作権侵害にあたるとしてCBS StudiosとParamount Picturesが制作者のAxanar Productionを訴えている米国における裁判で、カリフォルニア州中部地区連邦地裁は9日、被告側の棄却申立を却下した。審理は2017年1月31日に開始されるとのこと(裁判所文書: PDF、Axanar Productionのブログ記事、TorrentFreakの記事、Consumeristの記事、Ars Technicaの記事)。 被告のAxanar Productionは、具体的に著作権の侵害されたスター・トレック作品を示していない点や事実の裏付けなく二次的な情報に基づいて著作権侵害を申し立てている点、原告側が著作権保護の対象とならない作品中の個別の要素を挙げて著作権侵害を主張している点のほか、作品が制作されていない時点での提訴は時期尚早などとして棄却を申し立てていた。 連邦地裁では具体的なスター・トレック作品を示していない点について、原告は個別のエピソードや映画作品ではなく、スター・トレックのフランチャイズ全体に対する著作権侵害を主張していると指摘する。派生作品となる映画の著作権を持つParamount Picturesは原告適格でないとする被告側の主張に対しては、訴えがスター・トレックの著作権で保護された作品全体に対するものであり、原告として適格であるとの考えを示している。 (続く...) 事実の裏付けについては、シナリオの完成を知らせる被告のFacebook投稿や、予告編として公開されている「Vulcan Scene (現在は非公開)」の動画などを挙げ、著作権侵害を訴えるのに十分であるとの判断を示した。この場合に必要となる直接的な金銭的利益についても、クラウドファンディングで資金を調達している点やVulcan SceneをYouTubeで公開して客を集めようとしている点により、実際に利益が上がるかどうかは別として十分な根拠があるとしている。 原告が著作権保護の対象にならない個々の要素を挙げている点については、これらの要素の著作権を主張しているわけではなく、スター・トレックの著作権で保護された作品全体に対する著作権侵害を主張していると指摘。さらに著作権保護されない要素であっても組み合わせにより著作権保護の対象となる可能性があると述べている。訴えが時期尚早だとする被告の主張についても、シナリオの完成やVulcan Sceneの公開で機は熟しているとし、被告が挙げた数多くの判例についてもこの件には適用されないとの判断を示した。 連邦地裁では結論として、被告の訴えが今後も繁栄を続けるかどうかはわからないとしつつ、棄却申立を生き残るには十分に長寿であるとし、原告の棄却申立を却下している。 スラドのコメントを読む | YROセクション | 映画 | アメリカ合衆国 | テレビ | スター・トレック | 法廷 | YRO | スラッシュバック | 著作権
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