富士重、社名を「SUBARU」に改称。グローバルに統一を図る

2016年5月13日 10:04

 富士重工業は5月12日に開催した臨時取締役会において、来年の2017年4月1日付で、社名(商号)を「株式会社SUBARU」(かぶしきがいしゃ・すばる、英文表記:SUBARU CORPORATION)に変更することを決議したと発表した。2016年6月28日開催予定の第85期定時株主総会で定款変更が承認されることを条件として、社名変更を実施する。

 富士重工業は、1917年5月に中島知久平氏(元海軍機関大尉)によって創設された民営の飛行機研究所(後の中島飛行機株式会社)を源流とし、日本の敗戦とともに、GHQより航空機の研究・製造の一切が禁止され、中島飛行機は新たに富士産業と改称された。その後、いくつかの変遷を経て1953年に現在の富士重工業株式会社として設立した。中島飛行機は、太平洋戦争時には陸海軍の航空機需要に応え、軍用機および航空用エンジン開発に取り組んだメーカーだ。三菱重工業、川崎航空機などとともに大手航空機メーカーとして、日本最大規模を誇っていた。

 その後、1958年発売の軽自動車「スバル(SUBARU)360」でスタートしたスバルブランドの自動車事業は、その大成功で自動車メーカーとしての地位を確立した。その後、自動車を中心に、航空宇宙、産業機器などの各事業を発展してきた。

 スバル(昴:SUBARU)は別名「六連星(むつらぼし)」とも呼ばれる星団の名前で、純粋な日本語だ。富士重工業が中島飛行機の流れをくむ5社の資本出資によって設立されたことに因んで名付けられた。

 現在、富士重の自動車事業は世界90カ国以上で「SUBARU」ブランドで展開しており、2017年3月期は初の年間販売台数100万台超えを見込むなど、世界各国のユーザーの支持のもと、力強い成長力を示している。

 2014年5月に発表した中期経営ビジョン「際立とう 2020」では、2020年のありたい姿を「大きくはないが、強い特徴を持ち、質の高い企業」と定め、その実現に向けて“スバルブランドを磨く”と“強い事業構造を創る”ことに取り組む。

 今回、創業100周年を機に、長年皆様に親しまれてきた社名を変えてブランド名と統一させる目的は、この“スバルブランドを磨く”取り組みをさらに加速させ、スバルを自動車と航空宇宙事業における魅力あるグローバルブランドとして成長させることにある。長年培ってきた「安心と愉しさ」という固有の価値を提供し続けることで、更なる持続的成長を目指すという。

 また同社は、今後の持続的成長を目指して、経営資源をより有効・柔軟に活用し、事業の中核である自動車部門のさらなる競争力強化を図るために、2016年10月1日より、産業機器カンパニーをスバル自動車部門(スバル・オートモーティブビジネス)に統合することを、決定した。

 この事業統合により、産業機器カンパニーは社内カンパニーから、スバル自動車部門の一部となる。産業機器事業の開発人員などの経営資源を順次、スバル自動車部門へ投入していく計画だ。

 2016年3月期、スバル車の全世界販売台数は、前年同期比5.2%増の95.8万台。連結売上高は、為替変動や販売台数の増加などにより、同12.3%増の3兆2323億円。営業利益は前年同期比33.7%増となる5656億円。経常利益は同46.6%増の5770億円だ。

 好調な北米販売台数は7期連続で過去最高を更新。全世界販売台数、海外販売台数、売上高、各利益段階のいずれも4期連続で過去最高となった。富士重、今後はグローバルに「SUBARU」として訴求するというわけだ。(編集担当:吉田恒)

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