浜岡原発、政治判断で要請受け運転停止から5年

2016年5月9日 17:16

 中部電力浜岡原発が13日で運転停止から5年経過する。菅直人総理(当時)が『南海トラフ地震の想定震源域にある』などから、2011年5月6日にいわゆる「政治判断」で停止を要請し、中部電力は4号機を5月13日に、5号機を14日に停止した。3号機は運転再開を見送った。

 要請受け入れ判断について、勝野哲社長は今年4月の定例記者会見で「水野明久社長(当時、現会長)のもと、経営層全員で、議論に議論を重ねたことが思い出される。総理の要請は東電福島第一原発事故を契機に社会に広がった原発に対する不安を踏まえたご判断と理解する。停止については苦渋の決断であったが、当社が取り得る最善の判断であったと思う」と要請受け入れでの原発運転停止は最善の判断だったとした。

 中部電力は再稼働を目指し、安全性向上策に海抜40mの高台に6台のガスタービン発電機を設け、起動試験をしているほか、フィルタベントについては4号機用の配管取付工事、取水槽から水が溢れることを防ぐ防水壁設置工事などに取り組んでいる。勝野社長は「安全性向上対策工事は4号機については今年9月頃、3号機については来年9月頃に完工する予定」と語った。

 勝野社長は原子力災害対策や万一に備えた事故収束活動、原子力災害対策への取り組みも進めているとし「従前以上に周辺自治体、静岡県との連携を深める」また「浜岡原発運転再開には立地地域のみなさま、社会のみなさまから改めて信頼いただくことが不可欠で、取り組みについて丁寧に説明していきたい」とした。

 一方、菅元総理は今月8日のブログで「30年以内に高い確率での巨大地震の発生が予測されている状態は今も変わらない」とし「福島原発事故と同様の放射能汚染事故が発生すれば福島以上の大規模な避難が必要となり、更には日本の大動脈東海道新幹線も東名高速も長期間使用できなくなる可能性が高い」と運転停止を要請した当時と状況に変わりはないとの認識を示している。

 また、菅元総理は、原発全般について「原発事故が起きれば電力会社の責任で解決することができないことは福島原発事故で明らか。その上、原発が再稼働すれば最終処分地も決まっていない新たな核廃棄物が生まれ、将来に経済的にも安全面でも大きな負担を残す」と提起。

 菅元総理は「原発が稼働しなくても国民生活や経済活動に大きな支障がないことはすでに証明されている。原発を再稼働させることが国民にとって本当に良い事なのか、大局的観点から考えれば結論ははっきりしている」と脱原発を強調した。(編集担当:森高龍二)

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