マザーズ指数先物と「そーせい問題」

2016年5月9日 08:02


*08:02JST マザーズ指数先物と「そーせい問題」
マザーズ指数先物の取引開始は7月19日の予定とされており、約2ヶ月後に迫ってきた。証拠金が安価な点や日経先物との証拠金相殺効果、時間帯も翌日5時30分までと利便性が高く、様々なヘッジ取引等にも使われる見込みだ。取引開始日が近づくにつれさらに注目が集まってくるだろう。
 マザーズ指数はマザーズに上場する全銘柄を対象とする株価指数であり、日経平均のような選ばれた225銘柄とは違い、東証一部のTOPIX型といえる。マザーズ指数はマザーズの全銘柄を対象として算出される時価総額加重平均で算出される。
 ここで問題となるのが、マザーズの時価総額の比率がそーせいG<4565>、ミクシィ<2121>、サイバーダイン<7779>に大きく偏っている点だ。3社の合計でマザーズ全体の時価総額の約3割りを占める。TOPIX型にもかかわらず、日経平均におけるファーストリテイリング<9983>やファナック<6954>のように数銘柄が大きな影響を及ぼし、かつ3社の影響度はさらに偏って劇的に大きいのである。
 そして、更に問題なのが、マザーズの時価総額トップとなった「そーせい」がこの秋にも東証一部へ市場変更を申請する方針としている点だ。「そーせい」は、売買代金においても1銘柄でマザーズ全体の約半分を占める等(売買代金はトヨタを抜いて個別株で全市場1位の時もある)、その影響力は圧倒的なものがある。今年に入ってマザーズ指数が堅調なのは「そーせい」によるものとさえ言える。
 その「そーせい」がマザーズから抜けて、東証一部に昇格したら、マザーズ指数はどうなるのであろうか。一応、基準時価総額が調整され、指数の連続性は保たれることになっているが、構成銘柄から抜ける以上大きな影響が出るのは必至である。「そーせい」の一部昇格前後のマザーズ指数先物の動きには注意が必要なのは言うまでもない。
 ただ、開始直後に「そーせい」の一部昇格により混乱が生じることが明白に予想されるのであれば、そもそもマザーズ指数先物の開始日自体をその後に先送りした方がよいのではないだろうか。慌てて開始する必要はないし、ある程度運用実績を積んでから重要な構成銘柄の変更といった事態を迎えた方が今後の為にもよいと思われる。《YU》

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