3月の日銀短観は、ほぼ全業種で大幅に悪化―大企業製造業は2四半期ぶり

2016年4月1日 11:47

 日銀が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の業況判断指数(DI、「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた値 %ポイント)は、大企業、中小企業などのほぼ全業種で、大幅に悪化した。これまで比較的堅調だった大企業製造業も、2四半期ぶりに悪化した。先行き見通しもさらに悪化する予想で、アベノミックスが、踊り場に差し掛かっていることを物語っている。

 調査は、2月25~3月31日の間、全国の企業1万930社を対象に行われ、回答率は99.4%。調査結果によると、大企業の製造業は、プラス6となり、前回調査(12月)に比べ、6ポイントのマイナスとなった。非製造業もプラス22で、同3ポイント悪化した。中小企業も製造業でゼロとなり、前回より4ポイント悪化、非製造業もプラス5で同1ポイント悪化した。中堅企業の製造業は、プラス5で、前回に比べ横ばいだが、非製造業は2ポイント悪化した。

 企業の業況判断が悪化しているのは、中国経済の減速をはじめ、新興国の停滞などにより、国際商品市況が下落していることが要因。インバウンドの増勢も鈍化しており、小売りやサービス、飲食などに影響を及ぼしている。1ドル110円台に進んだ円高も、自動車などの輸出産業に悪影響を与えている。

 先行きの見通しについては、大企業、中堅企業、中小企業のいずれも業況判断の悪化が予測されている。(記事:南条 誠・記事一覧を見る

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