よく噛んで食べると、食後のエネルギー消費量が増加する―ダイエット法の開発に期待=東工大・林直亨氏ら
2016年3月17日 12:06
東京工業大学の林直亨教授らは、急いで食べる場合に比べて、よく噛んで食べる方が食後のエネルギー消費量(食事誘発性体熱産生量)が増加することを明らかにした。この成果は、噛むことを基盤とした減量手段の開発につながることが期待できるという。
早食いが過食をもたらし、それが原因で体重が増加する可能性が示唆されているが、一定量の食事を摂取した場合の食べるはやさが体型に影響を与えるかどうかは、明らかになっていなかった。そこで林教授らは、2014年に300kcalの試験食を使った実験を行い、よく噛んで食べると、はやく食べるよりもエネルギー消費量が増加することを明らかにした。
今回の研究では、パスタ、ヨーグルト、オレンジジュースといった一般的な食事でも同様のことが起こることを検証した。その結果、食後3時間のエネルギー消費量は、はやく食べた試行の場合平均15kcalだったのに対して、良く噛んで食べた時は30kcalだった。
また、食後に15分間ガムを噛む場合、エネルギー消費量は咀嚼後40分程度まで増加し、総計ではエネルギー消費量が平均6~8kcal増加することが明らかになった。これは、食事のはやさの違いに匹敵するほどの影響ではなかったが、ガムは飲み込まないため、咀嚼(そしゃく)することだけでエネルギー消費量を増やす効果があることが示された。
研究グループは今回の成果がゆっくりよく噛んで食べることが良い習慣であることの裏づけになるほか、咀嚼を基盤とした減量手段の開発に役立つ可能性があるとしている。
なお、この内容は欧州の肥満学会誌「Obesity」に掲載された。論文タイトルは、「Effect of postprandial gum chewing on diet-induced thermogenesis」。