22年開業予定の長崎新幹線 あまり歓迎されていない?
2016年3月6日 16:01
博多と長崎を結ぶ九州新幹線の長崎ルートが、新幹線と従来線を乗り継ぐ「リレー方式」にて、2022年度までに開業する方向で最中調整に入った。フリーゲージトレイン(FGT)の国内初導入を目指すが開発が大幅に遅れているため、リレー方式を代替措置とし、開業時期を堅持する。
九州新幹線の長崎ルートは「長崎新幹線」とも呼ばれ、基本計画が1972年に持ち上がるも、第一次石油ショックで凍結した経緯がある。その後、85年に早岐経由のルートが公表されたが、当時の国鉄は「採算性に乏しい」として、計画に消極的であったという。
ようやく開業の目途がたった同ルートだが、山陽新幹線や鹿児島ルートがフル規格であるのに対し、同ルートは乗り継ぎが必要になるため、時間短縮効果は微々たるものだ。博多・長崎間は現在特急で1時間48分かかるが、リレー方式だと1時間35分程度。十数分しか違わない。
さらに、FGTは最高時速270キロと、山陽新幹線の「のぞみ」より30キロ遅く、在来線区間は速度を落とす必要があるため、全線開業後の博多・長崎間の所要時間は1時間20分。FGT導入後も、大幅な時間短縮とはいかないようだ。
また、JR西日本<9021>は速度が遅いFGTが山陽新幹線を走ることに難色を示しているため、本州と九州をまたぐ場合は博多駅で乗り換えなくてはならない。
山陽新幹線や鹿児島ルートと同じフル規格であれば、博多・長崎間の所要時間は50分程度になり、山陽新幹線への乗り入れも可能だ。岡商工会議所の礒山誠二会頭は記者会見にて「全線(フル規格)でないと経済効果は薄い」とした。
理想はフル規格だが、佐賀県の財政負担がかさむという課題がある。FGT方式であれば佐賀県の負担は225億円だが、フル規格となると800億円ほどかかるとされている。
同ルートに対して「乗り換えが必要な上、時間がさほど短縮されない」「新幹線だと料金が上がるから利用しない」「税金の無駄遣い」と否定的な声が目立つが、一方で離島の活性化、アジアとの結びつきの強化などが期待されている。(編集担当:久保田雄城)