2050年には10億人が失明、50億人が近視になる恐れ

2016年3月5日 21:57

 2050年には予測世界人口の49.8%にあたる47億6,000万人が近視、9億4,000万人が強度の近視になる――これはオーストラリアのブライアン・ホーデン視覚研究所が発表した一つの予測だが、デジタル機器の急速な普及を考えると、あながち軽視できない。強度の近視は失明の要因の1つであり、研究者は包括的な近視治療の必要性や子どもへの眼科受診の徹底などを提唱した。00年時点では世界人口の22.9%にあたる約14億人が近視、うち1億6,000万人が強度の近視。50年で失明リスクが約6倍高まる計算だ。

 大きな原因の1つに、生活スタイルの変化が挙げられる。屋外での活動時間が減り、PCやスマートフォンなどのデジタル機器を近くで見続ける時間が増えているのだ。総務省の情報通信白書(15年版)によると、10代と20代は平日で1日平均100分以上、休日は180分以上、30代・40代はともに1日平均約80分インターネットを利用しているという。インターネット利用時間・利用者数ともに年々増加している。

 PCやスマートフォンを使用している最中は、ディスプレイと目の距離がほぼ一定である。これを長時間続けていると目のピントを合わせる距離が常に一定になるため、遠くや近くにピントを合わせるときに働く毛様体筋が凝り固まってしまい、ディスプレイまでの距離でしかピントを合わせられなくなる。

 近年では、乳幼児が親などのスマートフォンやタブレットに触れる機会が増え、低年齢化が顕著だ。幼児向けのアプリケーションが数多くリリースされており、知育、遊びなど内容はさまざまだが、熱中する子どもが少なくないという。テレビやゲームもしかりだ。

 幼児期は眼球や視力の発育途中にあたる大切な時期だ。視力は生後3-6ヶ月から急激に発達し、8歳くらいまで発達が続く。発達する過程でなんらかの問題が生じて正常に発達できないと、視機能に悪影響を及ぼす恐れがある。自身に限らず、子どもへの影響を深刻に受け止め、利用時間を減らし、目を休ませる時間を設けたいところだ。(編集担当:久保田雄城)

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