航空機の操縦士、体調不良の原因は?
2016年3月2日 11:00
headless 曰く、 航空機へのレーザー照射が報じられることも多いが、実際に操縦士が業務を継続できなくなるほどの重大なトラブルにつながるケースは少ないという。オーストラリア運輸安全局(ATSB)では、2010年から2014年に報告された操縦士の体調に関するインシデントをまとめている(リポート:PDF、Register)。
5年間でATSBが報告を受けた操縦士の体調に関するインシデントは113件。このうち、86件が定期運航便やチャーター便などを含む、座席数38席または最大積載重量4,200kgを超える航空機(high capacity air transport)のもので、それ以下の航空機(low capacity air transport)のものは12件、ジェネラルアビエーションのものが15件となっている。
high capacity air transportでのインシデント86件中半数以上を占めるのは胃腸の疾病であり、20件以上は発生してから到着するまで該当の操縦士は業務を継続できなくなっている。中には乗員用の軽食で第二操縦士が食中毒になったケースも報告されている。この件では副操縦士も同じものを食べているが、気分が悪くなっただけで業務には支障なかったという。また、機長ともう一人の第二操縦士は別の軽食をとっていたとのこと。ATSBでは操縦士全員が同じ病気にならないよう、それぞれ別の食事をとることを推奨している。
high capacity air transportでのレーザー照射の報告は5年間で1,316件にのぼるが、これにより視覚に問題が生じたとの報告は11件にとどまる。このほか、失神や風邪、視覚不良などが数件ずつ報告されており、半身まひや虫垂炎、乗り物酔い、通気口から侵入したエンジンからのガス吸い込みといったトラブルも1件ずつ報告されている。
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