次世代HVを見据えた「レクサスLC500h」の「マルチステージハイブリッド」、進化するHVの意味・内容は?

2016年2月27日 22:20

 トヨタ自動車は、3月1日に開幕する「ジュネーブモーターショー2016」(スイス/一般公開日:2016年3月3~13日)で、今年1月の「北米国際自動車ショー2016(デトロイトショー)」で公開したレクサスブランドのフラッグシップクーペ「LC500」のハイブリッドモデル(HV)「LC500h」を初公開する。

 ハイブリッドモデル「LC500h」は、“世界初”謳いあげて発表するレクサスの次世代ハイブリッド「マルチステージハイブリッドシステム」を搭載する。

 レクサスの最上級クーペとなるLC500は、2012年に公開したデザインスタディモデル「LF-LC」をベースに、新開発のFRプラットフォームを組み合わせたモデルだ。パワートレーンは、レクサス“F”モデルと同じV型8気筒5リッターエンジン「2UR-GSE」と新開発10速オートマティック(AT)を組み合わせた。

 HVのLC500hは、ガソリン車のLC500のパワートレーン2UR-GSEとトランスミッション10速ATに替えて、同社が「世界初」とする先に述べたレクサスブランドの次世代ハイブリッドシステム「Lexus Multi Stage Hybrid System(マルチステージハイブリッドシステム)」を搭載した。

 2016年2月18日に発表されたプレスリリースによると、マルチステージハイブリッドシステムの「世界初」が、何たるかを含めたシステム詳細は、以下のとおりとなる。

 レクサスブランド(トヨタ製)の大型FR車のハイブリッドシステムは、レクサスブランドの「GS」などに採用している最新の「2段変速式リダクション機構付のTHS-II」が一般に認知されている。エンジンやの排気量やモーターの出力はモデルごとに異なるが、2006年3月発売の「レクサスGS450h」や2007年5月発売の最上級サルーン「レクサスLS500h」が、このシステムを採用している。

 一方「IS」などのレクサスの中型FR車では、トヨタ「クラウン」などと同じ「リダクション機構付のTHS-II」を搭載している。

 レクサスLS500hは、LC500同様に新開発のFRプラットフォームが走りのパフォーマンスを引き上げ、内外装に美しいデザインを与え次世代レクサスのフラッグシップを象徴するクーペとした。LC500hでは、高回転化したV型6気筒3.5リッターエンジンと走行用モーターに自動変速機構を組み合わせた新しいシステムを採用。ドライバーの操作や車両のGから走行状態を判断し、モーター側出力をも変速制御することによって、ハイブリッドが持つモーター駆動による応答性の良さを最大限に活用。同時にダイナミックなドライビングテイストを実現したという。

 つまり、「走らせて愉しいHVに仕上げた」というわけだ。LC500hは「より鋭く、より優雅に」をキーワードに明確に動力性能を感じながら奥深い走りを目指し、HVの新たな可能性を示すシステムを搭載したということ。

 今回発表したマルチステージハイブリッドシステムでは、これまでの2つのモーターを使用したハイブリッドシステムに、有段ギア(4速)の自動変速機構(トルコン)を組み合わせ、エンジンとモーター両方の出力制御が可能になったことが特徴だ。エンジンの高回転化と合わせて、低速域ではエンジン使用領域を高回転側に拡大し、低速から力強い駆動力を生み出しパワフルな走りを実現した。加えて、低速域から高速域まで、システム効率の高い動作点を選択し、EV走行領域も拡大することで、エモーショナルな走りと燃費性能に優れた快適なクルージング走行を両立したのだ。

 変速制御が、どのような走行シーンにおいてもドライバーの要求に応じたエンジン回転数の変化を生み出し、同時にモーターアシストが変速機を介して応答性の良さを実現、アクセル操作に連動したダイレクトな加速フィーリングを達成した。この結果、エンジン回転と加速感がマッチした、ダイナミックな走りを生み出す新しいハイブリッドシステムとなった。

 駆動用バッテリーはリチウムイオン電池で、小型軽量化した走行用モーターを採用するなど、小型軽量化と高出力を両立。また、リチウムイオン電池はLC開発のポイントであるクルマの低重心化にも貢献したとされる。

 今回の新型ハイブリッド「マルチステージハイブリッドシステム」は、市場投入から約10年間設計の基本を維持してきた2段変速式リダクション機構付の「THS-II」に置き換わる次世代HVシステムになるはずで、まずは高級車への搭載からスタートしていく。ハイブリッド技術は、初代プリウスが登場した頃の前世紀末に「燃料電池車実用化までの“繋ぎの記述”」などと言われたこともある。が、しかし、日本のHVの進化を見るたびに、新しいパワートレーンとしての将来展開への期待が膨らむ。(編集担当:吉田恒)

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