東日本大震災からもうすぐ5年。未来のために、防災意識の向上を
2016年2月27日 19:57
未曽有の被害をもたらした東日本大震災から5年。被災地の住民はもとより、日本国民にとって、未だ悲しみの記憶が消えることはない。
3月11日には、東京都千代田区の国立劇場で追悼式が開かれ、天皇皇后両陛下や安倍晋三首相らが出席する予定だが、それに先立って政府は23日、首相の談話を発表した。安倍首相は談話の中で「被災地の復興・創生に向けた取り組みをさらに加速するとともに、教訓を十分にいかして、防災対策を不断に見直し、災害に強い強靱な国づくりを進める」と表明している。
では、災害に強い強靱な国とは具体的にどのようなものだろうか。とくに近畿地方においては、今後30年以内に60%以上の確率で、東海・東南海・南海地震の発生が懸念されており、より具体的な災害対策や防災意識の向上が求められている。
中でも、もっとも重要なのがライフライン・インフラの整備と確保だ。東日本大震災では、市内全域にわたって電気や水道、都市ガス、通信などのライフラインが停止し、被災地や周辺住民の生活や企業活動に深刻な影響を与えた。公共交通機関もサービスを停止し、さらにガソリン等の燃料不足により自家用車等が使用できなくなるなど、一時的に市民の移動手段が著しく制限されたのも話題となった。燃料や物資の供給も途絶え、生活や地域経済に与えた影響は数字では計り知れない。
これらの経験と教訓は、東日本大震災の被災地域だけのものではなく、日本国民が共有し、次に震災などの大災害が発生した時に被害を最小限にしたり、未然に防ぐために生かすべきものだ。また、国や自治体だけで取り組むものではなく、民間企業や団体も一緒になって官民一体で進めていくものだろう。
例えば、全国に27の支店と45の支店・営業所を展開し、安全靴やヘルメット等安全衛生保護具などを販売するミドリ安全株式会社では、同社のサイト上で防災対策品を販売するとともに、企業の防災対策などの取り組み方や、場面ごとに必要な対策アイテムなどを細かく具体的に提案している。
また、企業数56社、総社員数は8,500人を数える岡山の両備グループでは、系列のガソリンスタンド等を経営する株式会社両備エネシスにおいて、全店に防災士及び救命救急士を常駐させ、地域の防災拠点として、防災活動・防災情報の発信をするなど、地域に向けた防災活動の啓蒙を積極的に行っている。
また、住宅関連では住宅メーカーのアキュラホームが震災時などの水源の確保に備え、住宅の新築を機に手掘りによる井戸の設置を推奨している。同社の試みは、同社が販売する住宅にとどまらず、地域の小学校などにも波及しており、2015年 7 月には兵庫県加古川市立浜の宮小学校の児童らとともに井戸掘り体験授業を行うなどしており、自治体によっては、 災害時の清潔なトイレ確保のために、避難所となる全ての公立小学校に井戸の設置計画を発表するなど、取り組みが徐々に広がりつつあるようだ。
防災は、大事が発生する前に備えることなので、意識を向上させ、行動するのがなかなか難しい。東日本大震災から5年の節目の年。未来のためにも、今一度、家族や地域で防災対策について考えたいものだ。(編集担当:藤原伊織)