朝食抜きは脳出血リスクを高める

2016年2月14日 20:38

 がん、心臓病に次いで日本人の死因第3位である脳卒中。寝たきりになる原因としてはトップになっている。突然襲われるイメージの強い疾患だが、普段の生活習慣が予防につながることが、国立がん研究センターの平均13年に渡る追跡調査で明らかになった。

 同センターは4日、「毎日朝食を摂る人に比べ、1週間あたりの朝食摂取回数が少ない人は脳出血のリスクが高くなる」とする研究成果を発表した。朝食欠食により脳出血のリスクが上昇する可能性を示したコホート研究は、世界初という。

 脳卒中には、いくつかの種類があるが、代表的な疾患は脳の血管がつまる脳梗塞と、脳の血管が破れて出血する脳出血やくも膜下出血だ。

 分析の対象者は、1995年から全国で集められた45~74歳の男女のうち、循環器疾患とがんにかかったことがない82,772人(男性38,676人、女性44,096人)。参加者を1週間あたりの朝食摂取回数に応じて、週0?2回、3?4回、5?6回、毎日という4つの群に分け、その後の脳卒中との関連を分析した。平均で約13年の追跡期間中に、3,772人が脳卒中を発症した。

 解析した結果、朝食を毎日摂取する群と比べ、週に0~2回摂取する群では脳卒中全体の発症リスクが18%、脳出血では36%上昇していた。一方で、くも膜下出血、脳梗塞については、朝食の回数と発症リスクの関連は見られなかった。

 同センターによると、脳出血の最も重要なリスク因子は高血圧で、特に早朝の血圧上昇が重要なリスク因子となる。朝食を抜くと空腹によるストレスなどから血圧が上昇することや、逆に朝食を食べると血圧上昇が抑えられるということなどから、朝食を食べないと朝の血圧が上昇し、脳出血のリスクが高くなっていた可能性が考えられるという。

 同センターでは、「一般的に朝食を毎日摂る人は食べない人に比べて、他の部分でも健康的な生活習慣を送ることが多いと考えられる」と、ほかの生活習慣因子の影響もあることを認めながら、「今回の結果は朝食を摂ることの重要性を支持するもの」としている。(編集担当:城西泰)

関連記事

最新記事