政治的立場で電波停止いまだかつてない―自民・谷垣禎一氏
2016年2月12日 23:55
自民党の谷垣禎一幹事長は12日の記者会見で、記者団から、高市早苗総務大臣が政治的公平性を欠く放送が繰り返された場合に放送局に電波停止を命ずる可能性を繰り返し言及しているが、どう考えるかと問われ「政治的立場によって放送法のそういう権限を発動したということはいまだかつてないだろうと思う」としたうえで「結局、そのような問題に深入りすると我々自身も『やけどをする』のですね」と慎重にも慎重さが必要な問題だとの考えをうかがわせた。
谷垣幹事長は「最近の放送法の事案はよく分からないが、昔、逓信委員長等々を務めていたこともある。当時と今の放送法はまったく同じではないが、放送法あるいは政治の側がその問題で何らかのアクションを取ったほとんどの場合は虚偽の放送があったり、公序良俗に反する問題が起きていたりするときは発言なり行動があったと思うが、政治的な立場によって放送法のそういう権限を発動したということはいまだかつてないだろうと思う」と語った。
谷垣幹事長は、出版物を事例にあげ「よい出版物は減税する、などと言ったって、よい出版物と悪い出版物はだれが判断するのだと。なかなか深刻な問題です。自主的に出版業界でやるといっても、なかなか良書・悪書というのは判断が難しい。政治的に偏向しているか、していないかというのも極めて難しい。といって、本当に混乱を招くような政治的偏向があった場合にどうするかというのは一応形のうえでは放送法でああいう形で担保されている」ということとした。
谷垣幹事長は「今までの為政者というか、担当者はそういう問題で発動するには、今の問題を考えて、極めて抑制的であったと思う」と、憲法が保障する表現の自由、報道の自由、国民の知る権利の視点からみても、慎重であるべきとの認識をうかがわせた。(編集担当:森高龍二)