【どう見るこの相場】急落の日経平均の行方
2016年2月10日 12:36
■日経平均続急落、4カ月ぶり1万6000円割れ、アベノミクス第1幕終演を織込む
日経平均は、9日の918円安に続いて10日(水)も前場で459円安の1万5626円と続急落、昨年10月末以来の1万6000円割れとなっている。マイナス金利政策が、逆に、景気の厳しさを連想させるところとなって、持ち株売却につながった。下げの背景には何があるのか。下値の目処は。
<Q>日経平均は普通なら1日で900円も下げれば底打ちになると思われるが、今日(10日)も400円を超える大幅な下げとなっている。理解できない。
<A>短期的な視点でなく、長期的なスタンスでの見方が求められているように思われる。チャートで言うなら、日足、週足ではなく、「月足」チャートで捉えるということだろう。その月足でみれば、2012年12月に24カ月線を抜いて、買い転換、昨年まで3年間上昇した。この間、日経平均は8620円前後から2万0952円(場中値=15年6月)まで2.4倍に上昇した。上昇3年の「日柄」と、「2倍超の値上がり」という両面からみれば、月足チャートでみれば、当然の調整局面ということだろう。
<Q>アベノミクスの腰折れということか。
<A>そうは思わないが、ただ、アベノミクスは昨年で第1幕が終演、現在は第2幕の幕開きまでの休憩中といえる。景気、企業業績も第1幕の主役(円安による輸出関連)が同じように休みに入っている。幕間つなぎのサービス精神ということだろうか、マイナス金利を提供したが、観客には不評だったということだろう。
<Q>アベノミクス第2幕はいつ頃、幕が開くのか。
<A>すでに、開いてはいる。しかし、第1幕では、2度の驚きの金融量的緩和を実施したが、今は驚きに欠けている。当時は景気、企業業績がデフレ下の病弱な状態だったから、量的緩和は劇的な効果を発揮し日経平均は2.4倍にも上昇した。第2幕においても追加の量的緩和、つまり、現在の年間80兆円規模の国債等買い入れに上乗せして年間100兆円ということは予想されるが、仮に実施されても効果は一時的で第1幕のときのような大きい効果は難しそうだ。第2幕では、GDP600兆円実現、1億総活躍社会実現、地方創生、医療・ロボットなどの日本の得意とする技術の発現、といったことが主役だが、いずれも即効性というものではない。一方で、景気・企業業績は息切れ感が強まり、とくに企業業績は2017年3月期は減益の懸念が囁かれ始めている。
<Q>流れは分かったが、日経平均の下値の目処は。
<A>日経平均の月足は2月末に24カ月線を切って、13年1月以来の売り転換は避けられないだろう。短期的、つまり、日足、週足では反発場面はあっても月足では下値模索が続く展開だろう。当面のボトムは、まもなく発表のGDP10~12月ではないだろうか。さらに、中期的には、5月発表の3月期決算で次期見通しが不振ということで株価がストンと下げれば、そのあたりが下値となる可能性はありそうだ。月足チャートでみれば1万4000円どころには、かなりの下値抵抗ゾーンとなっている。低金利時代だから、今こそ株投資の王道である、「好利回り」銘柄に投資するチャンスだと思われる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)