脱毛の仕組み明らかに コラーゲンで抑制?
2016年2月8日 11:33
これで脱毛も解消?――。東京医科歯科大学の研究グループは5日、加齢による薄毛・脱毛の仕組みを明らかにし、幹細胞を中心とした老化プログラムが存在することを突き止めたと発表した。加齢に伴う脱毛症のほか加齢関連疾患の病態解明と新規治療法開発への応用が期待できるという。
皮膚や毛の老化の仕組みについては古くから様々な研究が行われてきたが、詳細まで確認できておらず、老化の仕組みについての解明は困難とさえ考えられてきた。研究グループでは、マウスにおいても加齢によって薄毛が見られることに注目し、マウスの毛包幹細胞の運命を生体内で長期に渡って追跡し、ヒトの頭皮の加齢変化と合わせて解析した。
その結果、加齢によって薄毛や脱毛がみられる場合には、毛包幹細胞が自己複製しなくなり、毛をつくる細胞を生み出す代わりに表皮の角化細胞へと運命を変えたのち、皮膚表面から落屑する(フケ・垢として脱落していく)ことがわかった。研究グループでは「男性型脱毛症に特徴的な変化であると考えられてきたが、生理的な加齢変化として進行することが分かった」としている。また、マウスの毛包幹細胞においてXVII型コラーゲンの枯渇を抑制すると、一連の加齢変化を抑制できることも解明し、同コラーゲンの枯渇を抑制すると加齢変化を抑制できることを明らかにした。
研究グループでは、「高齢化社会を迎え、老化の仕組みの解明と加齢関連性の難治性疾患への対策が急務となっている。今回の研究は、老化の仕組みについて新しい視点を与えると同時に、脱毛症の治療法の開発やその他の加齢関連疾患の治療へと繋がることが期待できる」とコメントしている。(編集担当:城西泰)