後発医薬品の普及は医療経済を救うか

2016年2月8日 11:36

 医師専用サイト「MedPeer(メドピア)」は、会員医師を対象に、「後発医薬品を使用する割合を引き上げることは可能か?」というアンケート調査を行った。その結果、74%が「増やせる」と答えたことが分かった。

 後発医薬品はジェネリック医薬品ともいわれ、新薬として流通していた先発医薬品の特許期限が切れた後に同じ成分で作られたもの。開発費用が抑えられているために薬価は安くなっている。政府は国としての医療費削減につなげようと後発医薬品の使用を推奨しており、数量ベースでの使用割合の目標値を2017年度に70%以上、さらに2020年度末までに80%以上とすると設定している。ちなみに、現在の後発医薬品の数量シェアは、50%ほどにとどまっているという。

 今回の調査は、2015年10月から11月にかけて行われ、3,740人の医師から回答を得た。「後発医薬品の使用割合は増やせるか?」の質問に対しては、「どちらかといえば増やせる」が51.0%、「まだまだ増やせる」が23.0%と、合わせて74.0%が「後発医薬品の使用割合を増やせる」と回答した。逆に「増やすのは難しい」と回答したのは21.4%だった。「後発医薬品は使用しない」と回答した医師も4.6%あった。

 勤務医と開業医に分けて回答をみてみると、勤務医は「増やすのは難しい」が19.9%だったが、開業医では28.1%だった。勤務医のほうが後発医薬品の使用割合を増やす余地が大きいと考えていることが分かった。

 回答した医師のコメントとしては、「これまであまり処方してこなかったので、まだまだ増やすことができる」(泌尿器科、勤務医)、「小児は公費負担が多いので、親は先発品を希望する。(後発品は)まだまだ増やせる」(小児科、開業医)、「医学的に増やせる、増やせないでなく、医療経済的には増やさなければいけない」(麻酔科、開業医)といった前向きな発言から、「効果や安全性が明確でない後発品は医師として使いにくい。経営としては必要なのかもしれないが、私は医師」(小児科、勤務医)、「60%引きなどの価格戦争でいったいどうなるのか」(一般内科、開業医)「臨床試験をしておらず、主成分が本物の薬と同じというだけの化合物は責任をもって投薬できない」(一般内科、 勤務医)などがあった。

 医薬品の販売ルートは独特で、後発医薬品が入り込みにくいという指摘もある。一方で「安かろう、悪かろう」では命にかかわる薬は受け入れられない。患者が薬を選択できる治療過程が必要ではないだろうか。(編集担当:城西泰)

関連記事

最新記事