住むにはいいけど、日本は働くところじゃない―留学生調査で
2016年2月7日 18:04
日本は住みやすいけど、働く場としては魅力がない――。経済産業省が行った外国人留学生・元留学生を対象とした日本の労働環境に関するアンケートで、外から見た日本の状況が見えてきた。日本は生活の場としての魅力は高いが、働く場としての魅力はないと評価されており、日本型雇用と深く関わっていることが明らかになったという。
調査は、同省の有識者会議「『内なる国際化』研究会」で議論するための資料とするために行われた。日本の産業競争力を維持するために外国人材を惹きつける国内制度・生活環境や労働環境づくりに生かすためという。
調査結果によると、「日本に住むことの魅力」については、「非常に魅力的」(33.0%)、「やや魅力的」(49.7%)を合わせると80%以上が魅力的だとしているのに対し、「日本で働くことの魅力」については「非常に魅力的」がわずか4.3%、「やや魅力的」も17.7%と一気に冷めた評価となった。「全く魅力的ではない」も15.6%いた。
外国人留学生から見た就職活動の問題点としては、「日本の就職活動の仕組みが分からない」(33.1%)、「入社後の仕事内容が明確に示されない」(32.2%)が挙げられた。日本企業への不満については、「昇進する見込みが感じられない」「給与が低い、増えない」「希望する仕事につけない」などが上位を占めた。
同省によると、日本の大学学部・修士課程で学んだあとに就職を希望する留学生(約70%)のうち、実際に日本で就職する学生は約40%(全体の約30%)にとどまっており、その理由の一つには、外国人留学生の約80%が就職先として大企業を希望しており、「グローバル人材を必要としている中堅・中小企業に目が向いていないというミスマッチがある」としている。
同省では、「制度・生活環境面において、入国管理制度や子供たちの教育環境、社会システムの多言語化などの改善点も指摘されている」とコメントしている。
外国のシステムに迎合するのが必ずしも良いこととは思わないが、彼らの指摘する問題点や不満は、普段は言うに言われず黙々と仕事をこなしている日本人の本音を代弁している部分もあるのではないか。(編集担当:城西泰)