NYの視点:米1月雇用統計のネガティブサプライズを警戒
2016年2月4日 07:16
*07:16JST NYの視点:米1月雇用統計のネガティブサプライズを警戒
米1月の雇用統計の結果は2016年の利上げペースを探る上で重要な材料となる。米国の民間企業の雇用統計となるADP雇用報告の1月分は前月比20.5万人増と、3か月連続で20万人を上回った。同統計は米労働省が発表する雇用統計と最も相関関係が強い先行指標として常に注目される。このため、1月の雇用統計に期待が広がった。
一方、米国経済の70%を消費が占めるため先行指標の中でもADP雇用統計と同様に注目度が高い米供給管理協会(ISM)非製造業景況指数の雇用は52.1と12月56.3から大幅に低下、2014年4月来の低水準となった。世界経済の鈍化やドル高が響き引き続き低調な製造業の雇用が一段と悪化したことに加えて気がかり材料となる。米ISM製造業景況指数の雇用は2か月連続で50を割り込み、活動の縮小を示した。また、米国経済が景気後退から脱出した2009年6月以来の最低に落ち込んだ。
市場では失業率が5.0%と、2008年以来の低水準を維持すると予想されているほか、非農業部門雇用者数はポジティブサプライズとなった12月から伸びが鈍化する見込み。米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーは労働市場の状況に関しての判断で、完全雇用の目標を達成したとの見解。
一方で年初から原油価格が一段と下落する中、低インフレの長期化がFRBの懸念材料となっている。世界経済や金融市場も混乱が続いており、FOMCの中でもイエレンFRB議長、フィッシャー副議長とともに影響力をもっているNY連銀のダドリー総裁は、市場の変動が成長見通しを変える可能性を警告。もし、金融市場の混乱が長引いた場合、FRBは政策決定において一段と真剣に考慮する必要があるとの見解を示した。製造業だけでなく、サービス業も活動が鈍化している兆候が見られる。雇用統計は遅行指標だが、万が一、結果が期待ほど良好とならなかった場合、米国の景気への失望感が一段と強まり追加利上げ観測がさらに後退。ドル売りにさらに拍車をかけることになる。市場では米国経済が景気後退(リセッション)に陥る確率を40%とみている。
■1月雇用統計の先行指標
・ADP全米雇用報告:前月比+20.5万人(予想:+19.5万人、12月:+26.7万人←+25.7万人)
・米・ISM製造業景況指数雇用:45.9(12月48.0)
・米・ISM非製造業景況指数雇用:52.1(12月56.3)
・NY連銀製造業景況指数
雇用(現状):−13.00(12月-16.16)
週平均就業時間:−6.00(12月-27.27)
6か月予想
雇用:4.0(12月15.15)
週平均就業時間:11.0(12月10.10)
・フィラデルフィア連銀製造業景況指数
雇用(現状):−1.9(12月2.2、6か月平均1.7)
週平均就業時間:−2.2(12月0.6、6か月平均−2.9)
6か月先
雇用:5.5(12月7.0、6か月平均14.2)
週平均就業時間:2.1(12月0.2、6か月平均3.6)
・リッチモンド連銀製造業景況指数
雇用(現状):9(12月12)
週平均就業時間:8(12月7)
賃金::19(12月17)
6か月先
雇用:23(12月16)
週平均就業時間:14(12月4)
賃金:33(12月22)
・消費者信頼感指数
雇用(現状)
十分:22.8(12月24.2)
不十分:53.8(12月51.3)
困難:23.4(12月24.5)
雇用(6か月先予想)
増加:13.2(12月12.4)
減少:16.5(12月16.8)
不変:70.3(12月70.8)
・失業保険申請件数
申請件数 前週比 4週平均 継続受給者数
01/23/16 278,000 -16,000 283,000 n/a
01/16/16 294,000 +11,000 285,250 2,268,000
01/09/16 283,000 + 6,000 278,500 2,219,000
01/02/16 277,000 -10,000 275,750 2,264,000
12/26/15 287,000 +20,000 277,000 2,234,000
12/19/15 267,000 - 5,000 272,500 2,205,000
12/12/15 272,000 -10,000 270,750 2,195,000
12/05/15 282,000 +13,000 270,750 2,242,000
■市場予想
失業率:5.0%(11月:5.0%)
非農業部門雇用者数:前月比+19万人(12月+29.2万人)
民間部門雇用者数:前月比+18万人(12月+27.5万人)《NO》