自動販売機、売れないのに飽和状態…なぜ?

2016年2月2日 11:25

 日本は言わずとも知れた「自動販売機大国」だ。飲料自販機だけでも約250万台が点在し、今もなお増え続けている。しかし、その一方で飲料メーカーは消費者の「自販機離れ」に頭を抱えているという。

 自動販売機の歴史を紐解くと、1962年、アメリカの大手飲料メーカーが日本に本格進出したのを機に、本格的な普及が始まった。67年には100円硬貨が改鋳、硬貨の大量流通によって自販機が使いやすくなり、74年には日本特有の「ホット&コールド機」が誕生。自販機の年間売上は約5兆円、内飲料は約2兆円であり、台数はアメリカの約3分の2ではあるが、年間売上は1兆円ほど日本が上回っている。これほどまでに普及したのは日本ならではの「治安の良さ」が大きな要因だと言われている。

 こうして自販機は日本人の生活に広く浸透していったわけだが、陰りが見え始めたのは最近のことではない。販売比率は96年頃から下がり続けている。コンビニやドラッグストア、スーパーなどの量販店の増加、さらに2014年の消費増税が追い打ちをかけた。

 自販機は基本的に定価で販売されている。スーパーやドラッグストアに足を伸ばせば定価よりも安く購入でき、コンビニでもポイントカードや電子マネーを使うと割引が適用されることがあるのだから、少しでも安く買いたい消費者は当然、自販機を利用しなくなる。

 ところが、飲料自販機の台数は増え続け、飽和状態になっているという。販売本数は減っても、利益の6割以上を稼ぐ「ドル箱」には変わりなく、メーカーとしては既存の台数を死守したいと考えているようだ。各メーカーの熾烈な陣取り合戦が物語っている。

 だが、一方でライバルメーカーとの連携も盛んになった。各メーカーの専用機に加え、複数のメーカーの主力商品が混在する「オールスター機」が増加。1本でも多く利益を上げるために、ライバル同士が協力せざるを得ない状況なのだ。

 再増税を控えた今、オールスター機だけでは消費者の自販機離れを食い止めるのは困難であろう。消費者の心を惹きつけるメリットを打ち出してもらいたい。(編集担当:久保田雄城)

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