投票が駅・商店街でも可能に 参院選からの導入目指す
2016年1月31日 19:39
公職選挙法を大幅に改正する方針を政府が固めた。国政選挙や地方選挙では投票率の低迷が続き、事態が深刻化している。そこで、有権者が多く集まる駅やショッピングセンターなどにも投票所を設置し、移住する自治体のどの投票所でも投票できるように改正に動き出す。改正案を国会に提出し、3月末までに成立と、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられる見通しとなっている今夏の参院選からの導入を目指す方針だ。
現在、有権者は住所登録している市町村の選挙管理委員会が指定した場所でしか投票できない。自治体すべての投票所で投票可能となれば、利便性が大幅に向上し、外出のついでに投票できる。
NPO法人ドットジェイピーが1330名の学生に実施した「衆議院議員選挙に関する意識調査アンケート(2012年)」では、投票に行かない理由の4割が「投票に行く暇がない」「投票所が遠い」を占めた。投票の仕組み自体が持つ弊害により若者が投票に行かないとなると、何のための選挙年齢引き下げなのかと問いたくなる。
選挙年齢引き下げにより有権者数がおよそ240万人増えると、全人口の83%が有権者ということになる。しかし、70歳から74歳の得票率が72%と言われている中、20歳から24歳の投票率はわずか30%だ。アメリカでは大学構内に投票所を設置するなどの施策が取られている。
また、本改正案には投票所内への同伴についても、18歳未満の児童や生徒を連れて入れるようにすることが盛り込まれている。現在は幼児ややむを得ない事情がある者の同伴に限り認められているが、法改正後は子連れでも投票しやすくなり、若者の政治参加を促せるかもしれない。期日前投票の時間についても、現在は午前8時半から午後8時までと定められているが、市町村の裁量で拡大できるようにする。
もう一つの課題である進学や就職、保護者の転勤などで転居した若者が新旧どちらの住所地でも投票できない事案を解消する措置を自民、公明両党が講じる方針である。転居前に3ヶ月以上の居住歴があれば、旧住所地で投票権を与えるようにする。
70年ぶりの選挙権年齢の改正、そして本改正案。選挙権年齢の引き下げについては賛否あるが、投票率の向上は急務である。相乗効果で若者の政治離れを食い止めたいところだ。(編集担当:久保田雄城)