NYの視点:米12月雇用統計で2016年利上げペース探る

2016年1月7日 07:15


*07:15JST NYの視点:米12月雇用統計で2016年利上げペース探る

米12月の雇用統計の結果は2016年の利上げペースを探る上で重要な材料となる。米国の民間企業の雇用統計であるADP雇用報告の12月分は前月比25.7万人増と、20万人台割れに減少するとの予想に反して増加幅が11月から拡大。1年ぶりの大幅な伸びとなった。同統計は米労働省が発表する雇用統計と最も相関関係が強い先行指標として常に注目される。このため、雇用統計に期待が広がった。

米国の経済の70%を消費が占めるため先行指標の中でもADP雇用統計と同様に注目度が高い米供給管理協会(ISM)非製造業景況指数の雇用も55.7と、11月の55.0から上昇。ただ、製造業の雇用が一段と悪化したことは気がかり材料となる。米ISM製造業景況指数の雇用は48.1と、11月の51.3から再び活動の縮小を示す50割れに落ち込んだ。

市場は失業率が5.0%と、2008年以来の低水準を維持、非農業部門雇用者数も前月比での増加幅が20万人台を維持すると見ている。米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーは労働市場の状況に関しての判断で、完全雇用の目標を達成したとの見方が大半を占めると見られる。

現在のところ市場は2016年に2回の利上げを見込んでいる。一方、クリーブランド連銀のメスター総裁は2016年に4回の利上げが正当化されるとの見解をメディアインタビューで明らかにしたほか、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁も年3回から5回の利上げを予想している。また、米連邦準備制度理事会(FRB)のフィッシャー副議長はFRBの見通し中央値である4回の利上げがおおよそ正しいだろうとの見方で、「市場の金利見通しは低すぎる」と指摘した。


■12月雇用統計の先行指標

・ADP雇用統計:前月比+25.7万人(予想:+19.8万人、11月:+21.1万人←+21.7万人)

・米・ISM製造業景況指数雇用:48.1(11月51.3)

・米・ISM非製造業景況指数雇用:55.7(11月55.0)

・NY連銀製造業景況指数
雇用(現状):-16.16(11月-7.27、6か月平均-5.52)
週平均就業時間:-27.27(11月-14.55、6か月平均-9.54)
6か月予想
雇用:15.15(11月16.36、6か月平均10.39)
週平均就業時間:10.10(11月5.45、6か月平均0.97)

・フィラデルフィア連銀製造業景況指数
雇用(現状):4.1(11月2.6、6か月平均3.4)
週平均就業時間:5.5(11月-16.2、6か月平均0.3)
6か月先
雇用:5.5(11月28.2、6か月平均18.2)
週平均就業時間:-1.8(11月16.6、6か月平均5.7)

・リッチモンド連銀製造業景況指数
雇用(現状):12(11月0)
週平均就業時間:7(11月-3)
賃金::17(11月6)
6か月先
雇用:16(11月11)
週平均就業時間:4(11月12)
賃金:22(11月22)

・消費者信頼感指数
雇用(現状)

 十分:24.1(11月21.0)

 不十分:51.2(11月53.2)

 困難:24.7(11月25.8)
雇用(6か月先予想)

 増加:12.9(11月12.0)

 減少:16.6(11月18.5)

 不変:70.5(11月69.5)

・失業保険申請件数
MM/DD/YY 申請件数 前週比 4週平均 継続受給者数
12/26/15 287,000 +20,000 277,000 n/a
12/19/15 267,000 -5,000 272,500 2,198,000
12/12/15 272,000 -10,000 270,750 2,195,000
12/05/15 282,000 +13,000 270,750 2,242,000
11/28/15 269,000 +9,000 269,250 2,246,000
11/21/15 260,000 -12,000 271,000 2,161,000
11/14/15 272,000 -4,000 271,000 2,155,000
11/07/15 276,000 +-0 267,750 2,173,000


■市場予想
失業率:5.0%(11月:5.0%)
非農業部門雇用者数:前月比+20万人(11月+21.1万人)
民間部門雇用者数:前月比+20万人(11月+19.7万人)《NO》

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