料金改善要請が16年以降のスマホにおよぼす影響
2016年1月4日 11:01
2015年の12月、年の瀬の時期に携帯電話業界の中核をなすスマートフォン(多機能携帯電話)に対して、重要な提言がなされた。高市早苗総務相による、携帯電話の料金引き下げに向けて行政指導を行うとの方針の発表だ。
これは安倍晋三首相の「鶴の一声」を受けてなされたものだが、あくまでデータ通信をあまり使用しないユーザーと、それ以外のユーザーとの不公平を是正することを目的としていることから、はたしてこの動きがスマートフォンユーザー全体の利用料金の引き下げにつながるかは、現在のところ未知数だ。
さらに、高市総務相の方針には料金プランの改善要請のほか、「実質0円」という端末販売を禁じるガイドラインが含まれていることから、16年以降、端末価格が値上がりするのではないかということを不安視するユーザーもいる。
スマートフォンの利用料金の高さについてはずっと言われ続けてきたことであり、そうした状況を改善すべく、ようやく(小さな)一歩が踏み出されたという印象だ。ユーザーの間では、そうした不満を解消すべく、スマートフォンを捨ててフィーチャーホン(従来型携帯電話)に戻る傾向が続いており、水面下で微小な「スマートフォン離れ」が起きていると見ることもできる。
しかし、それでもスマートフォンの人気は根強い。それを裏付けたのが、米アップルの新型iPhone「iPhone6s/6s Plus」の初動だ。15年9月に発売されたこの2機種は、発売後3日間で1300万台を突破。「iPhone 6/6 Plus」を上回り、最速記録となった。ただし、国内での反応はやや鈍く、発売日の店頭ではこれまでのような混乱・騒動も起きず、「冷やかに新型iPhoneを受け入れた」という印象があった。
スマートフォンは短い年月でその普及率を高め、定着化し、そして今、新しい局面を迎えようとしている。その局面において重要なポイントとなるのが、冒頭に書いた「料金プランの改善要請」だ。これにより料金が下がりスマートフォンへの不満が解消され、さらなるユーザーを獲得するか、それとも端末価格の上昇を招き、さらなる不満を生み「スマートフォン離れ」を増幅させるのか、16年を契機に携帯電話業界におけるスマートフォンの立ち位置に微妙な変化が訪れる可能性もある。(編集担当:滝川幸平)