海外進出している中小企業の45%が中国経済減速による減収を懸念―帝国データ調査

2015年12月18日 16:00

 帝国データバンクが18日に発表した海外進出している中小企業を対象にした調査結果によると、回答企業の45.8%が中国経済減速による海外事業の売り上げ減を懸念していた。TPP が海外事業に与える影響については55.1%が影響なしと回答した。

 同社によると、中国の景気減速が今後の海外事業に与える影響(複数回答)を尋ねたところ、「海外事業の売り上げ減少」が45.8%(360社)、「海外事業の利益減少」が33.3%(262社)で、回答割合の1、2位を占めた。一方、「あまり影響ない」との回答も32.8%で第3位となっており、見方は分かれている。

 第4位は「中国以外の調達・販売先の開拓」(17.8%)、5位は「中国からの調達の見直し」(16.3%)だった。

 TPP大筋合意が海外事業に与える影響(複数回答)については、「あまり影響はない」とする企業が 55.1%(428社)と過半数を占めた。肯定的にとらえる見方としては、「海外で新たな商機が生まれるため、プラスとなる」が30.9%、否定的にとらえる見方は「海外市場での競争が激化するため、マイナスとなる」が4.6%と、肯定的にとらえる企業が上回った。

 進出済みの国・地域については、第1位が「中国」で73.7%(584社)、2位が「タイ」で36.0%(285社)だった。いずれも日系大手製造業の進出が進んでいる国であり、同社は、それに伴って同地に進出している中小企業も多いと分析している。

 3位以下は、「アメリカ」(21.2%)、「ベトナム」(20.6%)、「韓国」(20.3%)、「インドネシア」(20.1%)、「台湾」(19.9%)となっている。

 新たな海外進出については、予定のある企業は全体の17%にとどまった。進出予定の国・地域の上位は、「ベトナム」31.1%(42社)、「タイ」 19.3%(26社)、「インドネシア」 16.3%(22社)だった。同社は、人件費の安い後発ASEANや南アジアの存在感が高まっていると分析している。

 今回の調査は、2015年11月6日~20日に郵送調査で実施された。調査対象は、同社データベースに収録する企業のうち、海外進出を行っているとみられる中小企業2,760社。回答企業905社(回答率32.8%)のうち、海外進出をしていると回答した企業797社(回答企業の88.1%)を集計対象としている。

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