馬の扱いやすさに関連する遺伝子を特定―京大・堀裕亮氏ら

2015年12月17日 21:15

 京都大学の堀裕亮博士らの研究グループは、HTR1A遺伝子の遺伝子型によって、馬の扱いやすさに違いがあることを明らかにした。

 神経伝達やホルモン伝達に関連する遺伝子の個体差は、ヒトをはじめとする様々な動物の行動の個体差に関連すると考えられている。ヒトに身近なコンパニオンアニマルで、遺伝子型から行動を予測することができれば、個体の特性に合わせた訓練方法や飼育方法の開発などに応用ができる。

 今回の研究では、JRA日高育成牧場で2011年〜2013年に飼育され、騎乗馴致(乗り馴らし)を受けたサラブレッド1歳馬167頭を対象に、扱いやすさの評定をおこなった。具体的には、新しい物体・ヒトへの不安、新しい環境への慣れにくさ、大きな物体への恐怖、反抗的な態度、体を触られることへの不安を評価し、ウマのDNAを抽出してセロトニン受容体遺伝子(HTR1A)のタンパク質をコードする領域の配列を調べた。

 その結果、HTR1Aの遺伝子型によって扱いやすさが統計的に有意に異なり、709番目の塩基のAの対立遺伝子をもつ個体は、もたない個体に比べて扱いにいこと、さらにこの効果はオスよりもメスでより顕著に見られることがわかった。

 研究メンバーは、「遺伝子型から個体の性質を予測できれば、それに合わせた飼育管理方法の開発や、乗馬・セラピーホースなどの適性の評価などに応用が期待されます。さらに研究を進め、ヒトとウマがよりよい関係を築くための一助となればと考えています」とコメントしている。

 なお、この内容は「Animal Genetics」に掲載された。論文タイトルは、「Evidence for the effect of serotonin receptor 1A gene (HTR1A) polymorphism on tractability in Thoroughbred horses」。

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