【編集長の視点】セイコーHDは11月の訪日外客数の連続過去最高で関連割安株買いが膨らみ急続伸
2015年12月17日 09:53
セイコーホールディングス<8050>(東1)は、19円高の750円と急続伸して始まっている。前日16日大引け後に日本政府観光局が、11月の訪日外客数の推計値を発表、10月に続いて月間での年初来の累計でも過去最高を更新しており、同社株にインバウンド関連の割安株買いが増勢となっている。前回11月18日の10月推計値の発表では、もっとも同社株の感応度が高く年初来高値838円をつけた急騰場面の再現期待も高めている。きょう17日の日経平均株価が、前日のFRB(米連邦準備制度理事会)の政策金利引き上げを受けて427円高と大幅続伸し、ほぼ全面高でスタートしていることもサポートしている。
■銀座にプレミアムブティックを新規オープンしウオッチ事業が好調に推移
11月の訪日外客数は、前年同月比41.0%増の164万7600人と11月月間として前年11月実績を上回って過去最高となり、1月~11月の累計でも、前年同期比47.5%増の1796万4400人と同じく過去最高を連続更新、すでに前年2014年の年間外客数の1341万3467人を455万人も上回った。学校休暇に入ったマレーシア、フィリピンの訪日旅行者数が大きく増加したほか、紅葉シーズン入りで紅葉観賞などを目的とした訪日需要も増え、円安基調の継続と消費税免税制度の拡充による買い物需要、さらに航空路線拡大、燃油サーチャーザーの値下がり、査証免除などの好条件が加わったことが要因となった。
セイコーHDは、インバウンド需要を大きくウオッチ事業で享受している。世界初のGPSソーラーウオッチ「アストロン」の新モデルなどのメンズウオッチやレディウオッチが人気商品となっており、今年7月には東京銀座にセイコープレミアムブティックを新規オープンしたことなども寄与している。また小売り事業の和光事業などでも、宝飾品などへ値強い人気が続いている。
同社は、今年8月にこのインバウンド需要に支えられて今3月期第2四半期(2Q)累計業績を上方修正し業績面でもメリットを謳歌、2Q累計業績は、この上方修正値を上ぶれ増益率を大きく伸ばして着地した。3月通期業績は、期初予想を据え置き売り上げ3200億円(前期比9.0%増)、営業利益160億円(同37.1%増)、経常利益160億円(同29.3%増)、純利益120億円(同44.9%減)と見込んでいるが、上ぶれ着地した2Q累計業績が、通期業績対比で高進捗率を示していることから、前期と同様に期末に向け業績上ぶれ期待も高まってくる。なお通期純利益の減益転換は、前期に計上した固定資産売却益91億円、投資有価証券売却益77億円が一巡するためで、実質では増益となる。
■前回11月の訪日外客数発表では年初来高値更新と株価感応度はピカイチ
株価は、今期2Q累計業績の上方修正で800円台に乗せ、世界同時株安の波及でほぼ往って来いの665円まで調整したが、11月18日の10月の訪日外客数の発表では大手証券の目標株価引き上げも加わって年初来高値838円と再急騰、株価感応度はピカイチで、この急騰幅の半値押し水準で下値固めを続けてきた。PERは12倍台と割安であり、再度の高値挑戦からさらに上値を伸ばそう。(写真=「セイコープレミアムブティック」東京・銀座)(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)