11月の貿易収支は2カ月ぶり赤字―鉄鋼などの輸出が減少

2015年12月17日 11:49

 財務省が17日発表した11月の貿易統計(速報)によると、輸出から輸入を差し引いた収支は3797億円と、2カ月ぶりの赤字となった。原粗油、液化天然ガスなどの発電燃料が引き続き減少したものの、鉄鋼や有機化合物の輸出が減少したことによる。

 輸出額は5兆9814億円で、対前年同月比3.3%減少した。2カ月連続の減少である。一方輸入額は6兆3611億円で同10.1%の減少となった。輸入は11カ月連続の減少である。差し引き額は同57.8%のマイナスである。

 輸出のうち増えたのは自動車で、同19.0%増加となった。しかし、鉄鋼が同18.4%、有機化合物が同22.2%、鉱物性燃料が同31.8%とそれぞれ減少した。

 輸入では、医薬品が同100.1%の大幅増加となった。しかし、原粗油は40.9%、液化天然ガスが41.5%と、それぞれマイナスとなったほか、通信機も30.4%のマイナスとなった。

 地域別の動向では、米国向けの貿易収支は5698億円の黒字で、同2.3%減少した。減少は15カ月ぶりである。自動車や医薬品、有機化合物が増加した半面、鉄鋼、建設用・鉱山用機械、金属加工機械などが減少した。輸入では、原動機、大豆などが増加した半面、穀物類、航空機類などは減少した。

 EU向け収支は、1781億円の赤字となった。赤字幅は過去最大である。自動車や鉄鋼などの輸出が増えたものの、医薬品、有機化合物などの輸入が大きく増えた。

 アジア地域のうち、中国向け収支は5914億円の赤字で45カ月連続の赤字である。有機化合物、半導体等の電子部品、電気回路等の機器の輸出がいずれも減少した。(記事:南条 誠・記事一覧を見る

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