問題山積みの軽減税率。早くも加工食品に黄色信号?

2015年12月15日 08:12

 今まで日本では試みのなかった軽減税率について連日議論が行われている。軽減税率とは生活必需品などの品目に対し適用税率を低くする制度のことで、低所得者の税負担を少なくし要と言うのが狙いである。

 EU諸国などはこの軽減税率を既に適用しているが、日本ではどの品目までを軽減税率の枠組みに入れるかその線引きについて各党の歩み寄りが行われている。今回の軽減税率は「生鮮食品」、「加工食品」、「外食」に焦点が充てられている。

 自民党は当初、軽減税率の対象品目として「生鮮食品」をあげていた。加工食品についてどの食品が加工食品で、どの食品が加工食品ではないかと言う線引きが難しいためである。また「外食」についての線引きにも難色を示している。しかし公明党は「生鮮食品」だけでなく「加工食品」も軽減税率の対象とすべきだとし、「外食」については軽減税率を行うべきではない、という意見を出している。

 消費税増税の背後には日本が抱える借金が深刻で税収が急務だったためである。軽減税率を導入することで見込まれている税収減は、「生鮮食品」だけの場合約三千四百億円だが、「加工食品」まで対象項目に増やすと約一兆円にまで膨らむ。

 その税収減をどこで埋め合わせするかと言うと低所得者の医療費等を補助する仕組みである「総合合算制度の新設(約四千億円を充てる予定だった)」を見送ることである。消費税が上がるのは家計を圧迫するためあまりいい印象が与えられないがこのまま借金が増え続けると国家破綻と言う最悪な結果が待っていないとは限らない。

 どの財源を増やしどの財源を減らすという結論を出したところで必ずどこからかは批判は浴びることになる。しかしその批判を避けるために「低所得者の為に」という言葉を盾にあれもこれも増税はやめようというのであれば負担は借金を作ったものでなく、下の世代にスライドされるだけである。

 今回の自民、公明両党の結論が今後の政治的戦略であり、有権者への顔色を覗う為を目的とするものとして行われるのではなく、財源確保のため、日本の将来の為であってほしいものである。(編集担当:久保田雄城)

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