ヴァン クリーフ&アーペル、おとぎ話『ろばの皮』から着想を得たハイジュエリーコレクション
2015年12月7日 20:00
ヴァン クリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)は、おとぎ話『ろばの皮』からインスピレーションを得た、新作ハイジュエリーコレクション「ポーダンヌ(Peau d'Ane)」を日本で発表した。
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『ろばの皮』は、一人の王女と彼女の父である王、そして運命の相手である王子との物語。フランスでは古くから親しまれており、『眠れる森の美女』や『シンデレラ』とともに「マザーグースコレクション」に集約されている。この歴史的名作『ろばの皮』に独自の解釈を加え、繊細で魅惑的なハイジュエリーを提案する。
ファッションプレスは、新作ハイジュエリーコレクション「ポーダンヌ(Peau d'Ane)」の魅力を探ることにした。
【ヴァン クリーフ&アーペルのクリエーション】
ハイジュエリーにはいくつかの定義があるが、厳選されたストーンを使用していることや、芸術的テーマに添ったアート作品であることは、ハイジュエリーの魅力を左右する大きな要因となる。
ヴァン クリーフ&アーペルのハイジュエリーが持つ最大の魅力は、優れたストーリー性があること。これまで夢や魔法といったワクワクする要素をテーマに、コレクションを展開してきた。アイコンである“バレリーナ”や、ユニコーン・ドラゴンなどから着想を得て生まれたジュエリーからも、好奇心をそそるクリエーションを継続していることがわかる。
【「ポーダンヌ」コレクションのラインナップ】
「ポーダンヌ」では、『ろばの皮』を大きく3つのシーンに分けて表現している。作品ストーリーとともに、新作ハイジュエリーを紹介。
■王女が育った華麗な城
ストーリー:
金色の髪、ダイヤのように輝く瞳をもつ、容姿端麗で知的な王女は、王と王妃とともに穏やかな日々を過ごしていた。しかし、王妃の死を境に、苦境と錯乱の日々へと一変。自身の運命を悟った王女は、妖精・リラの助言により、鏡や宝石、ドレスなどを宝箱に隠し、城をあとにする。
左) シャトー アンシャンテ クリップ
―自然に囲まれた、厳格なシルエットの城
38カラットを超えるアクアマリンを中央にあしらい、ブルーサファイアやモーヴサファイアが放つグラデーションで、曲がりくねった道すじを表現。両親に囲まれて幸せに過ごした王女の幼少期を象徴している。
右) ローブ クルール デュ タン クリップ
―空の色のドレス クリップ
トルマリン、淡いグリーンガーネット、ダイヤモンドを組み合わせ、このドレスのカラーグラデーションを表現。ターコイズを施した袖は、専門職人の綿密な彫刻でデザインされている。
■森の中の隠れ家
ストーリー:
城を出た王女は、高貴な身分であることを隠し、森の奥深くに身をひそめる。そんな彼女の楽しみは、週に一度だけこっそりと美しいドレスを身に付けること。ある日その姿を目にした王子は、一目で恋に落ちる。彼女との再会と手製のケーキを焼いてもらうことを付き人に頼み、王女探しが始めた。手がかりとなったのは、王女が誤ってケーキの中に落としてしまった、エメラルドの指輪だった。
左) フォレ メルヴェイユーズ クリップ
―おとぎ話に出てくる森
王女が隠れ家をイメージした、ダイヤモンドの小さな家を覆うようにエメラルドの木の葉をあしらった。グリーン、ピンク、バイオレットとさまざまな色と大きさの石をマッチさせて、詩情あふれる自然の姿を表現している。
右) ピウ ピウ クリップ
―王女に寄り添う2羽の鳥
パールの実がなったダイヤモンドの枝に、2羽の鳥を添えた。非対称に配置された、大小のパールが優しさと生命観を際立たせている。鳥のつがいは、愛するものの結びつきを象徴し、愛を夢見る王女の姿も印象的に描いた。
■豪華絢爛な結婚式
ストーリー:
深い愛で結ばれた王女と王子は、近隣諸国の国王や王妃を招き、盛大な結婚式を挙げる。王子は赤いビロードのスーツを纏い、王女は太陽のようなドレスに身を包んだ。幸せな王女は、長く離れていた父とも再会を果たし、再び愛に満ちた日々を過ごすのであった。
左) プランス ブルー クリップ
―王子へ捧げたオマージュ
メゾンの中でも数少ない男性像のクリップ。ゴールドやターコイズを配した衣裳パーツには、綿密な彫刻・カッティングが施されている。婚約者への思いは、胸元に掲げられた4.02カラットのモーヴサファイアで表現。
右) ボーテ セレスト リング
―陽気な雰囲気の結婚式
ファンシービビッドイエローの色調で、結婚式の高揚感を表現。類稀なエメラルドカットと格調高いセッティングによって、石の魅力を最大限に引き出した。ホワイトとイエローのダイヤモンドは、太陽のように輝き、指元を彩る。
【ストーリー性を支えるクラフツマンシップ】
おとぎ話の世界を反映したハイジュエリーを支えるのは、熟練した職人による技術である。創業以来、絶えず厳格な基準をもって鑑定を行っている宝石は、優れた純度と色調を持つ。
新作「ポーダンヌ」では、ルビーやサファイアなど温かみのある色彩で愛を、エメラルドのグリーンで王女と王子のロマンスを描いた。また、ターコイズやガーネットなどは空や太陽などが持つ、自然色のニュアンスを伝えている。
宝石選びと並行して、注意されているのは素材の組み合わせだ。繊細さと大胆さと相反するものを意識し、絶妙な調和を奏でるジュエリーを制作している。また、コントラストを際立たせることで、色彩の美しさも引き出している。