エーザイが海外のジェネリック市場に初参入

2015年12月7日 15:11

 中国の後発医薬品(ジェネリック)市場に日本の製薬会社が参入する。国内製薬大手エーザイ<4523>は27日、中国のジェネリック医薬品メーカーである遼寧天医生物製薬の買収を発表した。買収額は約96億円だ。

 中国の医薬品市場では欧米の製薬会社の活躍が目立つが、需要があるジェネリック医薬品市場で日本の製薬会社が存在感を示すことができるか、大きな市場ゆえに注目される。

 今回買収が決定した中国・遼寧省本渓市の寧天医生物製薬は消炎・鎮痛、胃炎、整腸、認知症、糖尿病関連など90品目の製造承認を持つジェネリック製薬企業だ。

 エーザイは1991年にすでに中国進出を果たしているが、ジェネリック市場へは初の試みであり、同時に今回の中国進出は同社初の海外ジェネリック市場への挑戦でもある。中国国内でジェネリック製薬としての実績がある寧天医生物製薬の買収を機に、初の中国ジェネリック市場で製品の製造・販売基盤を固めたい考えだ。

 中国の医薬品市場は世界2位の規模があり、元々の人口の多さと高齢化で今後、益々医薬品市場が拡大する可能性がある。その市場の中でも需要が見込まれているのはジェネリック医薬品であり、特に内陸部や地方の小規模都市などの病院ではジェネリック医薬品を処方することが多く、需要も期待も高い。

 中国の医療制度についてもジェネリック医薬品市場拡大が予測できる動きがある。今までは中央政府が医薬品価格決定に関わっていたが、今年6月から規制が緩和され、価格の決定が市場に委ねられることとなった。

 これにより、市場内で製品の質や価格が差別化され、企業努力がシェアや売上げに反映されやすくなる。同時に、高品質のジェネリック医薬品を提供し、信頼を築き上げていくことが重要になる。

 現在、中国の医薬品市場はイギリスのアストラゼネカやアメリカのファイザー、スイスのノバルティスなどが優勢だ。対して日本製薬企業は依然劣勢の状況だが、今回のエーザイの買収事案のように、中国製薬企業と協働することで市場内のプレゼンスを高めることも十分可能である。

 日本を含め、世界中でジェネリック医薬品の有効活用・需要が高まっているが、日本企業には医薬品市場での優位性を保ちつつも、安全で質の高いジェネリック医薬品を供給し、現地の医療に貢献する姿勢を忘れないでほしい。(編集担当:久保田雄城)

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