安倍政権のエネルギー・環境政策は「最悪」―菅氏
2015年11月30日 17:12
菅直人元総理は安倍政権がすすめるエネルギー・環境政策は、コストが安いというだけで石炭火力の拡大と原発回帰を進める「最悪のもの」と酷評した。
菅元総理は「世界中が呆れている。パリで行われるCOP21でも世界中の環境派から袋叩きに遭うだろう」と非難した。
菅元総理は「世界が再生エネルギー拡大によるCO2削減を進めようとしているとき、日本は国内外で石炭火力を増強しようとしている。日本の石炭火力は効率が良く、CO2の排出量が少ないと言うが、天然ガスよりCO2排出量は多く、排出量ゼロの再エネとは比較にならない」と強く問題提起した。
また「石炭火力を進めようとするのはコストが安いからという理由だけ」としたうえで「CO2削減に逆行する石炭火力は近い将来、国際的に、設備の廃棄を迫られ、逆に高いものにつく可能性が高い」とも警告した。
石炭火力発電の動向を調べている特定非営利活動法人・気候ネットワークが今月24日発表したところによると「2016年からの電力自由化を見込んで、政府の政策的後押しもあり、官民上げた『やみくもな駆け込み』新規計画が急速に増加。現在把握されている新規の建設は計48基(計2350万kW)に上り、全て建設されれば推計で年間約1億4100万トンのCO2が排出されることになる」としている。
気候ネットワークは「このまま計画が進めば、長期にわたってCO2を大量に排出し続けるだけでなく、旧来型の原発と石炭を中心とした『大規模集中型の電力システム』を温存させ、再生可能エネルギーを中心とした柔軟性の高い電力システムの構築を阻むことになる」と警告。
また「事業者も価格不安定な燃料の継続的輸入のリスク、環境に不適合な技術として不良資産化する投資リスクを抱えることになる」と指摘。「ここ数年で事業を再考することが将来にとってきわめて重要」と見直しを促している。(編集担当:森高龍二)