エンジニアはテロリストになる可能性が高い?

2015年11月30日 17:08

taraiok 曰く、 プリンストン大学のDiego Gambetta氏と有名な社会学者であるSteffen Hertog氏が、「エンジニアはテロに巻き込まれやすい」という理論を提唱しているそうだ。これらをまとめたものは来年「Engineers of Jihad(ジハードのエンジニア)」という本にして出版されるという(WashingtonPostレポート:Sociology Working Papers[PDF]レポート:ENGINEERS OF JIHAD[PDF]Slashdot)。

 二人は世界のさまざまなテロリストの個人データを収集した。その結果、暴力的なイスラム教徒組織のメンバーの半分以上が、工学関係の学位を持っていたそうだ。日本でもよく知られるジハーディ・ジョンも工学の学位を持っていたという。

 西側で育ったイスラム教徒テロリストには類似性が存在し、大卒以上のメンバーの多くは工学関係の学位を持っていたという。なお、こうした傾向はイスラム教系テロ組織に限らないようだ。一方、非暴力的なイスラム・グループでは逆の傾向が見られた(ただし、トルコとイランを除く)。こちらは、エンジニアよりもむしろ人文科学卒業生が多かったとしている。

 Diego Gambetta氏とSteffen Hertog氏によると、エンジニアがテロリストになる理由について一般的に考えられるのは、爆弾を作るなどのスキルがあるためテロ組織がエンジニアを中心に勧誘しているためというもの。しかし、ハマスなどを対象とした調査結果では、実際のテロ組織はエンジニアの資格よりも管理職としての能力のほうが求められるという。このため先の説は間違いだと考えているようだ。

 調査データによると、工学系の学位を持つ人は他の学位を持つ人よりもはるかに宗教的に保守的であるという。両氏は、このようなエンジニアの宗教的保守性が、中東および多くの北アフリカの経済的・社会制度的な不満と結びついて、テロ組織に加わる要因になっている可能性があることを指摘している。

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