「紙おむつブーム」で設備投資決定へ アジア圏の紙おむつ需要とは?

2015年11月28日 18:42

 高性能紙おむつの人気は企業に設備投資を決断させた。三井化学<4183>は18日、同社の東南アジア、タイの現地子会社であるMitsui Hygiene Materials Co., Ltd.での設備投資を発表した。

 設備投資の目的は、同社の生産する通気性フィルム(商品名はエスポアール)の増産である。このフィルムは主に紙おむつに利用されるものだが、これを利用した高性能紙おむつのアジア圏での大きな需要に応えるため、同社は今回約10億円の投資を決めた。

 今後は現地に通気性フィルム製造の設備を増設し、生産能力を年間1万900トンに引き上げるという。現在の年間生産能力が6700トンであり、ここから約1.6倍の増産を目指す。

 今後のアジア市場でますます紙おむつの需要が高まると見込み、各メーカーの紙おむつの増産と、原料となる通気性フィルムの供給の足並みをそろえる形となった。増設の完工は2016年11月を目途とし、17年1月に運転を予定しているという。

 三井化学が今回の設備投資を決断した背景には前述の通り、アジア圏での高性能紙おむつの需要急増がある。特に中国では日本の紙おむつに爆発的な人気があり、訪日・在日中国人によって紙おむつが「爆買」されるという事態まで起こっている。

 これだけ日本の紙おむつに人気が集まる要因には、まず日本製品への信頼感・安心感がある。これは紙おむつだけではなく電化製品や食品にもあてはまるが、08年の粉ミルクのメラミン混入事件を受け、幼児の養育・健康に一層神経を尖らせる親がより信頼感のある日本製を選択する傾向が目立つ。

 そしてもう一つの要因は日本製紙おむつ自体の機能性だ。紙おむつにはその用途上、直接肌に触れるものであるため、高い通気性が求められる。尿漏れを防ぎつつ、高い通気性を備えることでより快適な装着感を実現できるのだ。同社の製造する通気性フィルムはこうした紙おむつの高い品質と機能を担保する重要な役割を担う。

 現在アジア、主に中国で人気を博しているのは日用品大手、花王<4452>の「メリーズ」である。ここにアメリカの同業大手P&Gやキンバリークラークが参戦し、今後もおむつ市場が一層の盛り上がりを見せる可能性がある。紙おむつの主要な材料である通気性フィルムや不織布のメーカーには商機だ。(編集担当:久保田雄城)

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