もはや「ぬいぐるみは子供のもの」ではない? 高齢者向けぬいぐるみ・ロボットが各社から発売される時代へ
2015年11月23日 09:05
子供の頃、ぬいぐるみで遊んだ人は多い。成長するにつれ、そのぬいぐるみから離れていくのだが、自分が高齢者になってからもまた、ぬいぐるみを手にすることになる時代がやってこようとしている。
「くまの子くーちゃん」のぬいぐるみが13日、発売された。子供向けではない。あくまで大人の高齢者向けである。
これは玩具製造販売会社のデジレクトと電池企画販売から発売されたもので、「シニア向け」の音声認識機能付き、高性能のぬいぐるみなのだ。利用者の話す言葉、20語を認識してセリフを返す。その数は100通り。懐かしい童謡や昭和の歌謡曲が50曲収録されており、高齢者が簡単な会話や音楽を、ぬいぐるみとともに楽しめる設計だ。
今回発売された「くまの子くーちゃん」を発売したデジレクトではこの他に「シニア向けコミュニケーショントイ」を各種販売しており、犬や小鳥、猫などのかわいらしいフォルムは一瞬児童向けかと見間違えそうになるものばかりだ。
こうした高齢者向け人形やぬいぐるみは介護用品の販売店や通販サイトでも数多く目にすることができる。実際の利用者の評判はなかなかのものだ。
また本格的なロボットもある。富士ソフト<9749>が製造・販売するコミュニケーションロボット「パルロ」だ。100人以上の顔と名前を認識し、会話の話題も豊富、一緒にゲームをすることもできる。すでに多くの施設で導入されており、日本全国の介護施設でこうしたロボット導入の動きが加速する可能性は十分にある。
平成26年度版高齢社会白書(内閣府)によれば、平成25年度の65歳以上の高齢者人口は過去最高の3190万人だという。これは人口の25.1%を占めることになる。
高齢化社会の真っただ中、高齢者向けおもちゃ、ロボットの更なる需要が見込めそうだが、ネックになるものがあるとすれば製品の価格と、購入者のちょっとした罪悪感ではないだろうか。「くまの子くーちゃん」が1万584円と比較的手頃な価格である一方、本格的なロボットを購入しようとすれば数十万円以上の予算は確保しなければならない。
値段の一方、罪悪感の方は各人の気持ちの持ちよう次第となるが、罪悪感の元は「本来は自分が高齢者の相手をすべきなのに」というものだ。(編集担当・久保田雄城)