国立がん研究センター、遺伝子情報に基づくがん診療へ がん遺伝子を網羅的検査

2015年11月14日 21:21

 国立がん研究センターは13日、一度に約100のがん患者の遺伝子異常を調べることで、遺伝子検査を直接治療の選択に役立てるための臨床研究を2016年1月から開始し、遺伝子情報に基づくがん診療の確立を目指すと発表した。

 現在、日常診療で行われている遺伝子検査は、特定の薬剤の効果や副作用に関連する特定の遺伝子を調べるものである。この検査では、ひとつの遺伝子に2週間程度の時間がかかるという問題があった。これに対し、多数の遺伝子を同時に調べる遺伝子検査は、多数の遺伝子を同時検査できる。しかし、日常診療に導入するには、検査の信頼性の確保、遺伝子情報の取り扱いに関する倫理的問題などの課題があり、世界的に見ても日常診療への導入が遅れていた。

 今回、同センターは、「網羅的遺伝子検査室」を遺伝子解析等の先端測定技術・装置を有するシスメックと共同で開設。また、遺伝子解析に関する世界標準の品質を保証する米国臨床検査室改善法を日本で初めて取得した理研ジェネシスと連携した運用を行う。

 実際に行う網羅的遺伝子検査では、同センター研究所が開発した検査キットを用いた解析が予定されており、一度に約100の遺伝子異常を2週間程度で調べられるという。これにより、国際基準に準拠した品質保証のもと、より多くの遺伝子情報に基づいた適切ながん診療の実現が期待できるとしている。(記事:阪木朱玲・記事一覧を見る

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