拡大基調続くクレジットカード市場 14年度は前年度比109.6%の約46兆円
2015年11月13日 12:09
矢野経済研究所では、クレジットカードショッピング市場の調査を実施した。調査期間は2015年5月~9月、調査対象は国内の主要クレジットカード発行会社、スマートデバイス決済ソリューション提供事業者など。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリングを併用した。
2014年度のクレジットカードショッピング市場規模は、前年度比109.6%の約46兆円(クレジットカードショッピング取扱高ベース)であった。カード会社各社のクレジットカードの稼動率向上への取組みが功を奏したことや、EC(電子商取引)市場の拡大を背景としたクレジットカードの利用領域の拡がりにより、拡大基調が続いているとしている。
クレジットカード会社各社は、カードの取扱い金額に応じた顧客への個別優待サービスやカード決済情報を活用した店舗や EC サイトへの送客サービス、会員向け Web 情報サービスの拡充など、優良顧客を囲い込み、クレジットカードの稼働率向上への取組みを展開してきた。近年では、優良顧客の取込みを目的として、各社とも新規会員の獲得にも力を入れており、小売店舗や EC サイトなどの顧客基盤を持つ流通系のクレジットカード会社における会員拡大が目立っている。
また、クレジットカード会社各社にとって、ポイントプログラムは会員との関係性を強化するためのメインツールとなっており、ポイントプログラムを活用した新規会員獲得および利用促進は、既に必要不可欠なものとなっている。また、他社ポイントやマイレージ(航空会社が実施しているポイントプログラム)との交換や、ポイントを買い物の支払いに充当することができるサービスを提供することで、自社ポイントプログラムの差別化を図っているという。
さらに、CLO(Card Linked Offer)という手法により、顧客の利用履歴などのデータを活用してポイントやクーポンを付与し、加盟店舗への送客などにつなげる等、クレジットカード会員の利用拡大や加盟店サービスの強化に取組んでいるとしている。
一方、スマートフォンの普及を背景にスマートデバイスを活用することで、スキンジャケット型やドングル型の決済端末を利用し、従来のクレジットカード決済端末よりも低価格で簡単に、クレジットカード決済を導入できる決済ビジネスが拡大している。従来、クレジットカード決済サービスを導入できなかった小規模事業者に加え、飲食店チェーンやレストランでのテーブル決済をはじめ、サロン・美容室、ブティック、クリニックなど個人事業主や個人でも導入が増えている。
また、情報漏洩問題などからセキュリティ対応も進んでおり、「楽天スマートペイ」は2014年より、IC化に対応した決済端末をリリースしており、2015 年には「Coiney」や「Square」も IC 化に対応した決済端末の販売を開始している。
2020年の東京オリンピックに向けて、訪日外国人観光客への利便性向上のために、行政を主導としたキャッシュレス化の機運が高まる。クレジットカードショッピング市場は、加盟店がクレジットカードを導入しやすい環境が整備されるだけでなく、クレジットカード会員の利用メリットが更に高まることにより、引き続き拡大すると同社ではみている。2020年度のクレジットカードショッピング市場規模(クレジットカードショッピング取扱高ベース)は、約 75 兆円に達すると予測している。(編集担当:慶尾六郎)