NYの視点:米10月雇用統計、15万人の雇用で利上げ正当化
2015年11月5日 07:18
*07:18JST NYの視点:米10月雇用統計、15万人の雇用で利上げ正当化
米10月の雇用統計の結果は年内の連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げの可能性を見極める上で重要となる。米国の民間企業の雇用統計であるADP雇用統計の10月分の増加幅は前月比18.2万人と、9月の19万人から減少。また、9月分も20.0万人から19.0万人に下方修正された。サービス業の伸びが弱まったほか、製造業の雇用は2010年1月以来の大幅な減少を記録した前月に続き、減少した。同指数は先行指標の中でも、米労働省の発表する雇用統計と最も相関関係が強いとされ注目される。
ドル高や海外の景気低迷の影響を受ける製造業の雇用も依然として冴えない。10月ISM製造業景況指数の雇用は再び50を割り込み、4月以来の収縮を示した。一方、ISM(米供給管理協会)が発表した10月ISM非製造業景況指数の雇用は59.2と、58.3から上昇。2005年8月以降で2番目に強い結果となった。米国経済の70%は消費で構成されているため、同指数の雇用項目は特に注目される。
雇用の伸びの鈍化が明らかになりつつあるが、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーは10月、11月の雇用統計で15万人ほどの雇用の増加が確認できれば、利上げが正当化されると見ているようだ。利上げの先送りを支持していたブレイナード米連邦準備制度理事会(FRB)理事は講演で、「米国経済の見通しには勇気づけられる」「労働市場の改善は非常に堅調」と発言。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は下院金融委員会証言での質疑応答で、労働市場に関し「たるみは年初以降、改善傾向にある」「雇用は上向き、賃金は上昇している」と楽観的。また、経済も、「現状で、順調に成長している」としたほか、「十分に強く、労働市場の改善やインフレの上昇を支援する」との判断。世界経済の弱さを国内経済の強さが補っていると指摘した。従って、「FOMCは12月の利上げが適切となる可能性があると考えている」と述べた。しかし、決定事項ではなく、指標次第だと加えた。
金利先物市場での12月の利上げ確率は58%。前日の52%から上昇した。
■10月雇用統計の先行指標
・ADP雇用統計:前月比+18.2万人(予想:+18.0万人、9月:+19万人←+20万人)
・米・ISM製造業景況指数(総合):47.6(9月:50.5)
・米・ISM非製造業景況指数(総合):59.2(9月:58.3)
・NY連銀製造業景況指数
現状
雇用:-8.49(9月-6.19、6か月平均0.71)
週平均就業時間:-7.55(9月-10.31、6か月平均-2.28)
6か月予想
雇用:10.38(9月7.22、6か月平均10.16)
週平均就業時間:0.94(9月-9.28、6か月平均-1.79)
・フィラデルフィア連銀製造業景況指数
現状
雇用:-1.7(9月10.2、6か月平均4.0)
週平均就業時間:-7.3(9月7.0、6か月平均1.9)
6か月先
雇用:14.0(9月17.9、6か月平均19.9)
週平均就業時間:0.5(9月5.0、6か月平均9.1)
・リッチモンド連銀製造業景況指数
現状
雇用:3(9月3)
週平均就業時間:-5(9月-12)
賃金::17(9月15)
6か月先
雇用:19(9月26)
週平均就業時間:12(9月18)
賃金:37(9月43)
・消費者信頼感指数
雇用(現状)
十分:22.2(9月24.8)
不十分:52.0(9月50.3)
困難:25.8(9月24.9)
雇用(6か月先予想)
増加:14.5(9月14.9)
減少:16.9(9月15.9)
不変:68.6(9月69.2)
・失業保険申請件数
申請件数 前週比 4週平均 継続受給者数
10/24 260,000 1,000 259,250 n/a
10/17 259,000 3,000 263,250 2,144,000
10/10 256,000 -6,000 265,250 2,181,000
10/03 262,000 -14,000 267,250 2,165,000
09/26 276,000 9,000 270,500 2,209,000
09/19 267,000 3,000 271,750 2,195,000
09/12 264,000 -11,000 272,500 2,244,000
09/05 275,000 -6,000 275,750 2,243,000
■市場予想
失業率:5.0%(9月:5.1%)
非農業部門雇用者数:前月比+18.2万人(9月+14.2万人)
民間部門雇用者数:前月比+16.8万人(9月+11.8万人)《NO》