慢性化する人手不足 最も切実なのは「介護業界」「運輸業」等

2015年11月3日 16:38

 「採用しても集まらない」「人手不足で困っている」。人事担当者の嘆きはとどまるところを知らない。半数以上の企業が現在人員不足に陥っていることが日本商工会議所の調べで3日までに分かった。

 人員不足に関する状況について尋ねたところ、「不足している」と答えたのは1,319社で50.2%であった。「過不足はない」が1,195社で45.5%、「過剰である」が93社で3.5%となった。半数以上の企業が人員不足を感じているという結果になった。

 「不足している」と回答した企業の割合は、最も多かったのは「介護・看護」で72.2%であった。次いで運輸業で60.9%。「運輸業」が60.7%、「建設業」は60.7%、「その他サービス」が58.1%、「情報通信・情報サービス業」が56.7%、「不動産業」が53.6%、「卸売・小売・飲食店」が47.2%、「金融・保険業」44.1%、「製造業」44.1%となった。

 また、求める人材については、「一定のキャリアを積んだミドル人材」が67.9%、「高校卒業新卒社員」が40.4%、「大学卒業新卒社員」が32.1%、「管理職経験者等のシニア人材」32.1%となった。教育が必要な新入社員ではなくすぐに即戦力となる経験者を求めている企業の姿がうかがえる結果となった。また、従来の就職であれば大卒新卒社員に一定のアドバンテージがあるが、今回の結果では大学卒業社員よりも高校新卒社員の方がより求められている。ほかにも、能力があればシニア世代も必要とされていることが特筆すべき点である。

 一方、採用だけでなく現在雇用している人材の活用に対する工夫もされている。たとえば、65歳以降も働ける仕組みの構築については、「勤務できる」と答えた企業が7割を超えた。また「検討中」が18.4%となっている。一方、「勤務できない」は9.0%にとどまった。

 フリーコメントとしては、「人口減少は避けられない状況なので高齢者でも出来る産業を増やすべき(鳥取県 その他サービス)」「慢性的に労働力が不足しており、今後も改善が見込まれない業界に対しては外国人技能研修も含め早急に規制緩和すべきである。(静岡県 製造業)」等の声が聞かれており、人員不足の深刻さがうかがえる結果となっている。今後もこうした企業の努力は続くものとみられる。(編集担当:堺不二子)

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