今、見直されつつある日本家屋。自然とともに息づく、伝統技術

2015年11月1日 18:26

 日本人なら誰しも、木の匂いや、畳のい草の香りがする部屋に、居心地の良さと癒やしを感じるのではないだろうか。HEMSやスマートメーター、太陽光発電など、最新設備の住宅が続々と開発、発表されていく一方で今、日本古来の木造住宅が「ロハス」という言葉とともに見直されつつある。

 「ロハス」とは、地球環境の保護と、人の健康の保持を重視する生き方のことだ。確かに、高性能なエアコン、断熱性の高い建物など、最新の省エネ住宅も地球環境の保護や健康維持に貢献するが、日本の気候風土に合った木造住宅もそれに引けをとるものではない。通気性が良いので夏は涼しいが、冬は寒いのではないかと懸念する声もあるが、現代の木造住宅は高い気密性と断熱性を兼ね備えているので、冬でも柔らかな暖かさを維持することができる。

 また日本家屋は、土や木、紙、竹など、日本独特の素材の特色を活かした、高いデザイン性も大きな魅力の一つだ。昔から日本の住宅は地場の材料を活用して、地元の職人が作るのが基本だった。また、住まいの中に自然を取り込み、自然と共存共生しながら、快適な生活を目指すのが、日本の木造住宅のあり方だ。

 木造住宅大手の住友林業<1911>も、木造ながら最新のスマートハウス仕様の商品や洋風住宅、賃貸併用、店舗併用など幅広い商品を展開しているが、その中でも、わざわざ「そろそろ、和にしよう」というキャッチコピーを用いて、純和風住宅から和モダンまで自由設計でつくる和風住宅「和楽」を提案し、和の暮らしへの回帰を促している。

 中堅メーカーでは、木造住宅のアキュラホームが先日、日本の伝統的な「匠の技」を求めるユーザーの声に応え「建具」「左官壁」「庭」など、世界で高く評価されている匠による手仕事を現代の住宅に採り入れた「木和美(きわみ)」を発売した。同商品は2000万円台から(133㎡)という普及価格帯でありながら、匠と呼ばれる職人の技を採り入れる仕組みを加えた、業界でもこれまでに例のない住宅となっている。

 日本家屋のデザイン性や居心地の良さは、日本国内だけでなく、海外からも注目されているようだ。日本の左官技術や庭づくりの技術は、世界的にも評価が高いという。一番近くにいる、我々日本人が一番、そのことに気づいていないのかもしれない。そろそろ、日本家屋の素晴らしさ、そしてそこに息づく伝統技術の素晴らしさを見直す時がきているのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)

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