NYの視点:【10/20IMM】円の売り持ち3年ぶり低水準、FOMC、米Q3GDP、BOJ金融政策決定会合、5中全会

2015年10月26日 07:14


*07:14JST NYの視点:【10/20IMM】円の売り持ち3年ぶり低水準、FOMC、米Q3GDP、BOJ金融政策決定会合、5中全会

10月20日付けのシカゴIMM、投機・投資家筋のポジションで円の売り持ち高は、買い持ちとなった2012年10月以来3年ぶりの低水準となった。市場の円の売り持ちが減少したことは円の下落余地を広げる。


◎10/26週のポイント

米連邦公開市場委員会(FOMC)、米国の7-9月期国内総生産(GDP)、日銀金融政策決定会合、中国の第18期中央委員会第5回全体会議(5中全会)が相場材料となる。中国の積極的な追加緩和実施、欧州中央銀行(ECB)による12月の追加緩和示唆に加え、日銀が追加緩和を実施するかまたは黒田総裁が追加緩和を示唆すると、リスク選好の動きがさらに加速する。

加えて、米国第3四半期の企業決算がピークを迎え、アップル、エクソンモービルなどの決算も注目材料となる。ルー米財務長官は再三にわたり11月3日までに債務上限を引き上げる可能性があると議会に要請している。財政関連で調整を続けてきた共和党、ベイナー下院議長は今月末での引退をすでに表明。間際まで、対応がなされないと、警戒感が広がる。

中国経済の動向にも引き続き注目される。重要な会議である第18期中央委員会第5回総会(5中総会)の開催を10/26週に控え、中国人民銀行は預金準備率の0.5%ポイント幅の引き下げと政策金利の引き下げを同時に実施するという異例な積極的な追加緩和で、景気てこ入れ姿勢を強調。人民銀行は先に、輸出支援を目指して、人民元の切り下げを実施し市場にサプライズを与えた。5中総会を前に追加景気刺激策が発表されるとの思惑が強かったものの、予想以上に積極的な対応となった。概ね好感されたものの、一部では逆に「中国経済が予想以上に悪化している証拠」との悲観的な見方も存在する。

米連邦公開市場委員会(FOMC)では成長やインフレ、労働市場の状況を鑑み、利上げの可能性を探ることになる。利上げを見送った9月会合後、見通しを大幅に変更させるような経済指標はなく、FOMCが10月の利上げを正当化させることは困難になる。金利先物市場での利上げ確率はわずか8%。年内の利上げ確率も37%に過ぎない。ただ、12月会合までに発表される10月雇用統計など主要指標の結果次第では、利上げ観測が急激に高まる可能性も除外できない。

米7-9月期国内総生産(GDP)速報値は在庫鈍化や貿易赤字の拡大が足かせとなり前期比年率で1.6%成長と、4-6月期の3.9%成長から成長の大幅鈍化が予想されている。米商務省と類似したモデルを使用しているアトランタ連銀のGDP見通しはわずか0.9%成長。低調な伸びは年内の利上げ観測を一段と後退させる。


●日本

30日:日銀金融政策決定会合、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」発表、黒田日本銀行総裁会見

日銀は「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」見通しを発表する。平成28年度の物価見通しを引き下げる方向で、「28年度前半ごろに2%」という物価目標達成がほぼ不可能となる中、追加緩和は避けられないとの見方も根強い。

ただ、黒田日本銀行総裁は今までのところ、「経済は順調に回復の軌道にある」と、追加緩和を示唆する発言は聞かれない。


●中国

26-29日:第18期中央委員会第5回総会(5中総会)

2016年から20年までの5年の経済計画が、現行の15年までの年平均7.0%増からどの程度引き下げられるかで世界経済への影響を予測することになる。「新常態(ニューノーマル)」宣言の本気度を示すには、成長目標を年平均6.0%まで1ポイント以上は落とすべきだとの見解もあるようだ。大幅に引き下げられると、リスク回避の動きが再燃する可能性もある。


●米国

26日:新築住宅販売:予想55万件、ピークである2007年来の高水準を回復する見込み
27日:9月耐久財受注:予想前月比-1.3%、8月-2.3%
28日:米連邦公開市場委員会(FOMC)(27日から2日間)、共和党は下院議長に関する採決、9月財の貿易収支:予想-644億ドル(-666億ドル)
29日:7-9月期国内総生産(GDP)速報:予想前期比年率:+1.6%、4-6月期3.9%、9月中古住宅販売:予想前月比+1.0%(8月-1.4%)、ロックハート・アトランタ連銀総裁のあいさつ
30日:9月PCEコア:予想前年比+1.4%(8月+1.3%)、10月シカゴ購買部協会景気指数:予想49.5(48.7)、ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁、ジョージ米カンザスシティー地区連銀総裁が講演


●地政学的リスク

ウクライナ紛争
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン


【IMM】

*日本円
ネット・円売り持ち:-3,639(10/20)←円売り持ち:-13,832(10/16)
(直近ネット円買い持ち最高水準:08年3/25+65,920、04年2/6+64499)
(過去最高ネット円売り持ち高:07年6/26-188,077)

*ユーロ
ネット・ユーロ売り持ち:-62,566(10/20)←ユーロ売り持ち:-80,576(10/16)
(07年5/15:+119,538過去最高買い持ち高、10年2/9-57,152過去最高の売り持ち高)

*ポンド
ネット・ポンド買い持ち:+7,537(10/20)←ポンド売り持ち:-7,527(10/16)
(07年7/22:直近ネット買い持ち高最高水準+98,366)

*スイスフラン
ネット・スイスフラン買い持ち:+625(10/20)←スイスフラン売り持ち:-2,352(10/16)
(過去最高スイスフランネット売り持ち高:07年6/19:-79,331)

*加ドル
ネット・加ドル売り持ち:-27,112(10/20)←加ドル売り持ち:-33,949(10/16)
(直近ネット買い持ち高最高水準:07年10/12+83001)

*豪ドル
ネット・豪ドル売り持ち:-38,412(10/20)←豪ドル売り持ち:-33,705(10/16)《NO》

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