拡大するメカトロニクスパーツ市場 リーマンショック以降最大の市場規模に

2015年10月23日 11:44

 富士経済は、電子技術を応用することで、主にFA機器制御の高性能化や多機能化、自動化を実現するメカトロニクスパーツ(構成部品、機器・装置)の市場を調査した。その結果を報告書「2015年 注目メカトロニクスパーツ市場実態総調査」にまとめた。

 この報告書ではコントローラ領域6品目、ドライブ&モータ領域8品目、センサ&ID領域7品目、受配電機器領域5品目、合計26品目のメカトロニクスパーツ市場とアプリケーション動向を調査・分析した。また産業用オープンネットワーク動向について調査し、各品目の次世代製造システムへの対応をIoT/M2M/ビッグデータ、環境対応、セキュリティ、セーフティ、標準化・オープン化の5つの観点からまとめた。

 それによると、2014年の市場は、コントローラ領域やドライブ&モータ領域など全領域でリーマンショック以降最大の市場規模となった。スマートフォン関連向けは中国販売を中心に急拡大した。Apple、SamsungEI.のほか、中国スマートフォンメーカーの台頭が市場を押し上げる要因となった。自動車関連向けは国内市場をはじめアメリカや中国など、販売が世界的に伸びた。また、国内設備投資は円安基調により全般的に回復に向かったとしている。

 2015年の市場は自動車関連を中心に設備投資が引き続き堅調で、スマートフォン関連も既存ラインの改善需要が継続し、2014年比4.6%増の1兆6,770億円が見込まれるという。

 今後市場が拡大していく上での最大の懸念材料は中国市場の動向であり、回復基調にある先進国への影響も含めて不透明感が残るとしている。しかし、中長期的には、新興国の生産ライン自動化需要は人件費の高騰、中間所得層の購買力上昇に伴う供給の量・スピードの向上要求など、生産体制の改善から高まっており、また先進国でも設備の高機能化ニーズに伴う新設・既存設備への投資が継続するとみられ、市場は緩やかに拡大していくと予想している。領域別にみるとコントローラ領域とセンサ&ID領域を中心に海外販売比率が高まると分析している。

 産業用RFIDシステムは、個体管理のタグ、ID情報の読み取り・書き込みを行うアンテナ(リーダ/ライタ部)、タグへのID読み書きを制御するコントローラユニットを統合したシステムを対象とした。製造現場の生産工程間物流において、トレーサビリティ向上や生産効率改善など品質管理を目的に多く使用されている。特に、自動車生産ラインや半導体製造装置向けなど日系メーカーが強みとする分野が中心で、今後もこれらの分野が市場拡大をけん引していくと予想されるとしている。

 産業用固定式コードリーダは、製造現場の生産工程間物流や生産設備のほか、物流拠点内の仕分けシステムなどに使用される固定式のコードリーダを対象とした。現状は国内市場が中心となっている。海外市場に日系メーカーの展開が進展していない理由は、FA機器向けでは導入前の調整作業などが必要であり、また物流向けでは充実したサポート体制によるエンドユーザーのダウンタイム削減が重要で、その対応に苦慮することからだとしている。(編集担当:慶尾六郎)

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